建物の中に存在する壁は場所によって求められる性能が違ってくるため、まずは必要な性能がどのようなものかを確認しておく。
そしてその性能を満たすためにはLGS壁をどの高さまで施工するのか、という部分も考えていき、その区分によってLGS自体の規格サイズも決まってくることに。

こうした区分は建物の規模が大きくなればなるほど手間がかかってくるものですが、その分だけコストに与える影響は大きくなってきます。
無駄にハイスペックなLGS壁をたくさん採用して、コストが割高にならないように気を付けながら検討を進めていく必要があります。、

こうした流れがLGS壁の仕様についての一般的な考え方ではありますが、これは単純に図面上で考えた場合の理論でしかありません。
もちろん大抵の場合はこの考え方で進めて問題ないはずですが、様々な要素を考えた時に、LGSのサイズを統一することがベターな場合もあります。

建物の条件はそれぞれのプロジェクト毎に少しずつ違っていて、前と同じ考え方が必ずしも正解ではない、ということです。
その選択がベストだったかどうか、というのは、それぞれの状況になってみないとなかなか分からないものですけど…

それでも、色々な考え方と選択肢がテーブルの上に載っていて、その中からベストと思われる選択が何かを検討していく。
そうした選択肢の多さが仕事を進めていく上で有利になってくるのではないかと私は思います。

それこそ机上の空論で、実際にはそんなにスマートにいくことは少ないのかも知れませんが、それでも選択肢が多い方が有利なことは間違いありません。
ということで、今回は全部のLGSを上階の床コンクリート下まで建てる場合もある、という話をしてみたいと思います。

■いつLGSを建てるか

建物をつくっていく施工段階を進めていく中で、LGS壁を施工するのはどのタイミングになるか。
これは建物によって少しずつ違いますが、上階の床コンクリート打設が完了して、さらに外壁の工事があらかた完了したくらいが一番多いのではないかと思います。

LGSは基本的に床コンクリートから天井まで、もしくは床コンクリートから上階の床コンクリートまで建てることになります。
なので、少なくともLGSを止める相手である上階の床コンクリートが出来上がって、そこからLGSの施工をスタートする必要がある訳です。

施工はタイミングが重要になる

もちろん上階の床コンクリートが出来ただけでは、外部から雨が入ってきてしまいますから、外壁が完全に出来てからがベストです。
しかし工期が少ないとか、建物が広くて雨はそうそう入ってこないだろうみたいな条件が色々とあって、外壁の工事が完了していなくてもLGSの工事はスタートすることもあります。

このあたりは施工する側がどこまでリスクを負うのかによるので、慎重な判断が必要になりますが、一般的な手順としては「LGSを固定する相手が出来てから施工」という事になります。
施工手順の話はもっと奥が深いですけど、シンプルに説明をするとこのような感じになると思います。

ここで、今まで説明してきた話に戻ります。

今までの説明では、LGS壁を天井裏まで施工するのか、それとも天井から下だけで良いのか、という話をしてきました。
ここで施工手順という考え方をすると、LGSを固定する相手というのは、壁の仕様によって以下の2種類あることが分かります。

・上階の床コンクリート

・天井下地

LGSを固定する相手が二種類ある、ということが何を意味するのかですよね。

■1回の工程で済ませるには

LGSを施工する手順についての話と、LGS下地を固定する相手が二種類あるということについて書いたのはどうしてかと言うと…
天井から下だけでも良いLGS壁というのは、天井下地にLGSを固定することになるため、天井下地を組んだ後でなければ施工できない。

これを伝えたかったからです。

納まり断面図を確認してみると確かに納得という感じで、建物を施工していく順番を考えると、天井から下のLGS壁を施工するのは結構後になってしまうんです。
基本的に内装工事の施工手順としては、かなり大雑把に書いてしまうと「壁→天井→床」という流れで進みます。

しかし天井下のLGS壁がある場合、天井下地を組んだ後で再度LGS壁下地を施工するという手順が必要になります。
それならば、まず最初に全部のLGSを上階床コンクリートに固定してしまう、というやり方がベストである可能性も出てくる訳です。

もちろんこれは建物の規模によって判断が大きく変わります。
大規模な建物でこのような考え方をしてしまうと、恐らく省略できる手間に比べてコスト増が大きくなりすぎるはず。

しかし階高がそこまで高くはなく、上階床コンクリートまでLGSを伸ばしてもサイズが変わらない場合などでは有効な考え方です。
これは、あまり規模が大きくない建物にしか採用出来ないかも知れませんが…知っておいても損はないと思います。