LGS壁というのはその部位ごとに求められる性能が違っていて、その性能によっては、天井から下にあれば良い場合と、天井裏にも必要な場合があります。
そうした性能やどの高さまでLGS壁を施工するのかの違いによって、採用されるLGSの規格サイズが違ってきます。

というような話を前回は紹介してきました。

同じ性能を満たす建物をつくるのならば、コストは低く抑えておく方がお金を出して建物をつくる側としては有り難い。
これは自分がお金を出す立場になってみること想像すれば、なんとなく掴めてくるのではないかと思います。

特に性能として必要とされない場所にも関わらず、天井裏にもLGS壁を設けたりするのは、やっぱり勿体ないことなんですよね。
そうしたやり方を推し進めると、結果として大きめなLGSを採用することになり、コスト的にはどんどん不利になっていきます。

そうした無駄をなくしていくために、まずは必要最小限の範囲だけを天井裏までLGS壁として、それ以外の部分は天井から下の壁にしておきたい。
そんな話を前回はサンプル図面を利用して説明してきましたが、今回はもう少し具体的な数字を出して話を進めてみます。

■LGSの高さによる規格サイズ

LGSについて説明した際にも書いたと思いますが、LGS壁の下地となるLGSの規格というのはその高さによって区分されます。
具体的には以下のような区分になっています。

LGS50型  : 高さ 2.7m以下(ただしボード片面のみ)

LGS65型  : 高さ 4.0m以下

LGS90型  : 高さ 4.5m以下

LGS100型 : 高さ 5.0m以下

それぞれのLGS規格には使用できる高さの上限があります。
と言うことはつまり、LGS壁をどこまで施工するのかという区分によって、使用するLGSの規格が変わってくることになる訳です。

前回も紹介したサンプル図面でもう一度考えてみると、断面図としては下図のような状態になっていたかと思います。

断面図で見るとこうなる

まずは階高が4.5mという条件があって、廊下と倉庫の間にある壁は耐火性能が必要になるので天井裏にもLGS壁が必要になっています。
その一方で倉庫と事務室との間にある壁には特に耐火性能などの規定がないので、この壁は天井下までで良いかなということになります。

どの部分に耐火壁が必要になるのか、というのは当然建物の規模や様々な条件によって違ってきますので、今回はあくまでも一例ということで。
だけどこうした条件になっている建物は結構あるのではないかと思います。

建物が病院になっている場合は廊下と病室の間にある壁を耐火壁にすることが多いですし、耐火壁でない場合も「114条区画」と呼ばれる天井裏までの壁にすることが多いです。
学校などもそうした特殊な条件があったりするので、もう本当にそれぞれの建物ごとに色々ある条件を検討してい防火区画は決める必要があります。

このあたりの話はLGSの仕様とはあまり関係のない話ですから、ここで詳しく説明するのはやめておき、LGSの規格サイズについての話を進めていきます。

■必要最小限のサイズで

上図断面からそれぞれの壁をLGSの長さで考えた場合、以下のようにLGS下地の必要な長さは結構違ってきます。

・廊下-倉庫 4.2m

・倉庫-事務室 2.7m

この長さが施工可能なLGSサイズを考えてみると、廊下-倉庫間にあるLGS壁のLGSは90型にする必要があります。
その一方で、倉庫-事務室間のLGS壁はLGS65型を採用すればOKという事になります。

使い分けが面倒だから全部LGS90型にする、という考え方も物理的には可能です。
しかし出来るだけコストを抑えたいと考えた場合には、そうした全部統一するという考え方はコストを無視しているので、あまり採用はされないです。

こうしたLGSの使い分けをしながら建物の計画を進めていくことになりますが、実際に施工する際に面倒なのかというと、それほど大変な事ではありません。
きちんと図面上で採用するLGSのサイズを区分しておくことが出来れば、施工時にそれを間違えてしまうことはあまりないです。

これが非常に面倒で間違えやすく、なおかつLGS90と65が値段的にほとんど差がないような状況であれば、サイズを統一する考えもあるとは思いますが…
実際にはそこまで大変な作業にはならないので、やはり壁仕様によってLGSのサイズを使い分けていくことが一般的ではないかと思います。

建物を施工していく際には、「施工図」と呼ばれる図面を、施工者であるゼネコンが作図していくことになります。
そこでLGSのサイズや石膏ボードの仕様、壁の位置やLGSサイズの切り替え位置などの細かい数字が表現されていくことになります。

それを見て職人さんがLGSを決められた位置に建てていき、そこに石膏ボードを貼っていく、という感じで工事は進みます。
施工図上でLGSのサイズをしっかりと表現しておき、切り替える位置などを分かりやすくしておけば、細かい使い分け自体で特に問題にあるようなありません。