LGS壁を天井から下だけ施工するのか、それとも上階の床コンクリート下まで施工するのか。
この「どこまでをLGS壁として施工するのか」は求められる性能によるため、それぞれの部位ごとに施工範囲は変わってくることになります。
そして、その施工範囲によって大きな影響を受けることになるのが、電気設備・空調設備・衛生設備ということになります。
そんな話を前回は取り上げてみました。
当サイトは建築の納まりを解説していくことをメインテーマにしているので、電気や空調や衛生設備などについてはあまり関係ないと感じる方も多いかも知れません。
しかし、本当に建物の納まりを考える際には、建築のことだけを考えている訳にはいかない、というのが現実としてあります。
それらを総合的に考えて納まりを決めていかないと、頑張ったのに見映えがあまり良くないなどの残念な状態になってしまいます。
建築は非常にきれいに納まったのに、その外側に照明器具が露出で出ていたり、スイッチと配線が見えていたり、などなど…
これはかなり極端な例ではありますが、もう少し穏やかな状態での失敗は結構よくあります。
デザインをすっきり見せようと頑張りたい部分であればなおさら、電気設備や空調工事との調整をきちんとやった方が良いです。
最終的に建物の見た目を考えるのは意匠設計者で、建物の見え方というのは設備関係も含めて検討しないといけないものですから。
今回は「建築の納まり」とは少し話がそれてしまいますが、電気・設備工事について少しだけ説明をしたいと思います。
■各工事の区分と重要性
建築工事と同じくらい重要な要素である「電気工事」「空調工事」「衛生工事」ですが、具体的にはどんな内容の工事なのか。
今回はそのあたりについて簡単に説明をして、どれだけ重要な要素なのかについても一緒に書いてみたいと思います。
・電気工事
まずは電気工事ですが、電気工事というのは照明器具やコンセント、スピーカーや電話、テレビなどの電気に関連する工事一式を指します。
なかなか見えてくるものではありませんが、建物全体に電気を行き渡らせることも電気工事の役割になっています。
建物の色々なところにあるコンセントにジャックを差し込んだら、もちろんそこから電気が供給されて使えるようになる。
こうした状態になるためには、電気設備が配線を色々な部分にのばしておく必要があって、それが出来ているからこそ建物は便利に使えるんです。
もし建物が停電になって照明器具が全部消えてしまったとしても、非常時に点灯する非常照明が必ず用意されています。
それによって停電が発生しても安全に建物の外に出ることが出来る訳ですけど、そうした非常照明も電気工事に入っています。
室内でテレビを視聴するための設備も電気設備に入っていて、これがないとテレビを購入したとしても全然使えないということに。
電気工事がどれだけ重要な要素なのかは、落雷とかでごくまれに停電が発生することがあって、そうした場合の不便さで痛感するはずです。
・空調工事
空調工事というのは、まあそのまんまではありますけど、主に空気に関する設備のことを指します。
空気調和設備で空調設備ですから、大きな割合を占めているのはやはり空調(エアコン)で、あとは新鮮な空気を部屋に供給するための換気設備もやはり空調設備になっています。
空調がなければ真夏でもエアコンが使えない建物になるし、換気が出来ていない部屋の空気は汚れていき環境が悪くなるばかりです。
そうした場所で仕事をしたり、居室として滞在し続けることは非常に難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、最近は熱中症の問題もありますから、健康を害する危険性も高まってしまい、やはり建物としての機能に問題ありと言わざるを得ません。
こうして考えると、建物が建物としてまともに機能するためには、やはり空調設備というのは本当になくてはならない存在だと言えます。
・衛生工事
衛生工事というのは主に水関連の設備を指していて、空調設備と同じように、この衛生工事がきちんと整備されていない建物では、非常に困る状況に陥ってしまいます。
例えば蛇口から水が出ないとか、トイレが流れないなどの問題に直面すると、どうしようもなく悲しい状況になるのが衛生工事です。
これはごく希に発生する断水などを経験すると、もう本当に痛感することになると思います。
あって当たり前だと思っていた水が使えないと、もう何も出来なくなってしまい、あっという間に不衛生な状態になってしまいます。
なにせお風呂にも入れないし、使った食器の洗い物も出来ないですから。
また、これは建物の規模によって有無は変わりますが、天井に取り付けるスプリンクラーも衛生工事になります。
水は人の暮らしから切っても切れない関係にありますから、その為の設備として衛生工事は非常に重要な要素だと言えるでしょう。
電気・空調・衛生工事についての簡単な説明はこれで終わります。
これらの工事が建物にとってどれだけ重要かは伝わったのではないかと思います。
建築工事だけで建物は出来上がっていくとは思っていても、実際にはそれでは建物の外側だけが出来上がっただけの状態なんです。
そこに人が実際に生活していく上では、各設備工事の要素が必要不可欠になるので、納まりを検討する際には考慮していくことが重要です。