全部のLGS壁を覚えるべきか

耐火性能を持っているLGS壁の中で、石膏ボードを片側から施工することで耐火性能を持たせることが出来るSウォールという製品を前回は紹介しました。
石膏ボードが片側だけで済むというのはかなり大きなメリットで、シャフトだけでなく色々な場面で採用することが出来る使い勝手の良い製品ではないかと思います。

しかし片側にしか石膏ボードを貼らなくて済む、というのはメリットである反面、それがデメリットにもなり得るんです。
LGSの中にグラスウールを仕込めないため遮音性能としては低くなる、というのがデメリットのひとつで、これは前回も少し取り上げました。

ホテルの「訳あり部屋」などを調べてみると、宿泊費が少し安くなる代わりにエレベータシャフトの隣にある部屋です、みたいな場合があります。
どうしてエレベータシャフトの隣にある部屋が「訳あり」で宿泊費が安くなるのかというと、エレベータが動くときに出る音がと振動が気になるからです。

ホテルの客室は遮音が重要

ホテル側からも「エレベータの隣はちょっと…」という認識がある訳です。
恐らくホテル側も最初からその部屋を訳あり部屋にはしていなかったはずですが、宿泊客から何度も苦情を受け付けた結果、そうした対応になったのだと思います。

そう言ったことを考えると、出来ればエレベータシャフトの隣に居室がある場合は、出来るだけ音対策をしておきたいところです。
しかしエレベータシャフト側から作業して石膏ボードを張っていくのは、もちろん不可能ではありませんが結構大変な作業になる。

「施工が大変」という理由で片側からしか石膏ボードを貼らないLGS壁にしても良いのか、という部分は結構悩ましいところです。
これはもう建物の用途とか部屋の種類によって使い分けるしかありません。

例えば工場の廊下に面するエレベータで「遮音をしっかり」というのも、やや過剰だと思われる場合もあります。
しかしその考え方を高級ホテルで適用すると「なぜ遮音をしないのか」となる可能性が高いです。

これではちょっと曖昧な気もしますけど、やはりここはケースバイケースということで、建物によって対応を変えていくのが正解なのだと思います。
プランを調整して、エレベータの隣は倉庫など非居室にするのもひとつの手ですよね。

Sウォールについての話はこの辺にしておき、今回はもう少し全般的な話をしていきたいと思います。


■全部を覚える必要はない

前回までの説明で、かなりざっくりとではありますが、LGS壁の中で耐火性能を持っている製品について色々と話をすることが出来ました。
遮音性能をもった耐火壁があったり、一般的な納まりの耐火壁があったり、施工性を考えた耐火壁があったり。

建物の用途が様々であるのと同じように、LGS壁というジャンルひとつをとっても、非常に多くの種類が用意されているんです。
もちろん当サイトでは、製品として用意されている全部のLGS壁について紹介することは出来ていません。

しかしそこはあまり重要なことではないかなと考えています。

今現在私が知っているLGS壁についての情報を全て細かく説明していくことは、かなり説明としては長くなってしまいますが確かに可能ではあります。
しかし結局時間が経過していく中で新製品がどんどん発表されていくのは間違いないので、いずれは情報として古くなってしまいます。

それを追いかけてタイムリーにフォローしていくのは難しいです。
しかもそうやって細かくタイムリーに情報を更新していくことは、それほど意味のあることでもないんですよね。

それよりも肝心なことがひとつ。

耐火壁には様々な性能の商品があって、建物の用途や条件によって使い分けが必要だ、ということを認識しておく。
それさえしっかりと認識することが出来ていれば、今の時点でのLGS壁のラインナップを暗記する必要なんてありません。


■「いつも同じ」の危険性

LGS壁としてどのような製品が用意されているのかは、必要な時にカタログを見れば、その時点での最新情報をすぐに取り入れることが出来ます。
だから製品情報を暗記しておくことはそこまで重要なことではなく、もっと別の大事なポイントがある、というのは先ほど書いた通りです。

逆に「自分がいつも採用するLGS壁はこれ」みたいなやり方をするのは楽で良いのですが、新しい情報が入らないという危険性があります。
新しい情報が入らないとか、情報が入ってこないようなやり方をするとか、情報が入ってきても興味がないとか。

そうした状況になってしまうのは、建築のプロとして避けたいところです。
これはどんな業界にも言えることだと思いますが、ビジネスで生き残っていく為には常に変化をしていく必要があります。

「いつもと同じ」という考え方は、そうした変化とは遠い位置にある考えなので、楽だけどちょっと危ないと思います。
基本的に変化というのは疲れるものですけど「疲れない=頭を使わない」ですから、あまり良いことはないんです。

やっぱりプロだったら脳に汗をかかないと、ですよね。

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