防火区画で必要な耐火壁

建物はその規模によって条件は様々ですが、建物内には耐火性能を持っている壁が必要になる場合もある、という話を前回は取り上げてみました。
しかもそれは建築基準法で定められているものなので、その決まりを守らないと建物をつくることが出来ません。

法律で定めないで建物をつくる側のモラル任せになってしまうと、どうしてもコストを優先したりデザインを優先したりになってしまいます。
それでは一定の水準で建物の安全を確保することは出来ないので、やはり国が法律としてきちんと整備する必要があるんですよね。

これは建物を造る側にとっては制約が増えるのでキツいことではありますけど、建物を利用する側にとってはその方が良いと思うはず。
建物を造る側にとっては…とか言いつつも、造る側でも同時に建物を利用する側にもなるので、建物の安全が確保されているのは絶対に良いことなんです。

建物内に耐火性能を持った壁を設置する条件はいくつかありますが、最も一般的なのが一定の面積ごとに区画をする「面積区画」、そして階段やエレベータなどを区画する「竪穴区画」です。
この2種類を押さえておけば、防火区画が必要な部分についてはある程度知っていると言っても問題ないと思います。

他にも色々な条件で必要になる防火区画はありますが、細かく解説をしていける程の知識が残念ながら私にはないので、「他にもあります」と言うだけにしておきます。
建築基準法が記載された分厚い本に目を通してみるとわかりますが、これが本当に本当に複雑なつくりになっているんですよね…

防火区画は建築基準法で定められている

色々と試行錯誤をして追加したり後から変えたりを繰り返すと、あのような分かりにくい形式になるのかも知れませんけど、とにかく読みづらい構成になってます。
増築工事を何度も繰り返した古い旅館のように、どこにいけば目的の情報が取り出せるのかが本当に分かりにくい。

その概要だけでも頭に入れておく、もしくは法規の本からその場で欲しい情報をスムーズに取り出せる人を設計者と呼ぶのでしょう。
仕事だから法規を覚えるのは当然のことだとは思いますが、もう少しだけでも良いので分かりやすい表現を使って欲しいところです。

どのように建築基準法を調べていくのかの話はさておき、耐火性能が必要になる壁についての話をもう少しだけ続けましょう。


■手軽な耐火壁として

どの壁を耐火性能が必要な壁にするのか、それをLGSで構築するのか、それともコンクリート壁にするのか、もしくはALCなどのコンクリート製品を採用するのか。
こうした選択肢がたくさんある中で、コストや工期や施工性、意匠などを考慮しつつ具体的な壁の仕様を決めていく。

これが設計者のやるべき仕事になります。
施工性とか工期については設計段階で検討することが難しいため、そこまで重要視しないとは思いますが、どのように見せるかなどは非常に重要な要素なので色々検討するはずです。

建築基準法の条件を満たす建物を造るのが前提ですから、まずは法律で求められる範囲で耐火間仕切を設定する必要がある。
その中で最も手軽な発想は、コンクリートの壁を造ってしまうことですが、発想だけは簡単でも実際には色々と問題があります。

コンクリートで壁を造ってしまう、と言うのは簡単ですけど、建物が完成したあとで壁の位置を変更することが非常に困難になってしまいます。
それに、一般的にはLGS壁に比べると壁の厚さが大きくなりますし、そもそも建物の重量も増えてしまいます。

こうしたコンクリート壁の特徴は以前も紹介した通りですね。
建物が重くなると構造の考え方を見直す必要が出てくる可能性もあり、そう簡単にコンクリートの壁を造ることは出来ないんです。

そうなると、コンクリート壁よりも手軽で軽いLGS壁に耐火性能を持たせよう、という考え方が出てくることになります。
材料さえあればすぐに壁を造ることが出来るし、壁の厚さもコンクリートほど分厚くはなりません。

後々で壁の位置も(コンクリートに比べれば、ですけど)比較的変更しやすい、ということもあって、LGS+石膏ボードの耐火壁は結構多く採用されます。


■色々な種類のLGS耐火壁

LGS下地の上に石膏ボードを張っていくというLGS壁には、どのような種類の分け方があるのかを調べていくと、用途によって様々な種類があることが分かります。
部屋を区切るという目的の一般壁とか、今紹介している耐火性能を持った壁とか、以前紹介した遮音性能を持った壁とか。

こうした色々な性能を必要な場所に応じて使い分けていくことになります。

耐火性能を持っている壁にプラスして遮音性能を持たせることも出来るし、耐火性能だけを持たせることも出来るし、人がぶつかることが多そうだから表層のボードを硬いものにすることも可能。
LGSと石膏ボードを組み合わせた壁にはそうした多様性があり、その選択肢の多さこそが、建物を構成する壁の中でLGS壁が最も多く採用される理由なのだと思います。

選択肢が多ければ、建てようとしている建物にマッチした壁を選定しやすくなりますから、やはり種類が多いのは良いことなんです。
次回はそんな耐火性能を持ったLGS壁の仕様について、もう少し具体的に説明していくことにします。

関連記事

  1. 音を通したくない場合もある

    壁-LGS+石膏ボード

    遮音耐火壁と一般耐火壁

    耐火性能を持っているLGS壁には様々な種類が製品として用意されていて、…

  2. LGSのイメージ

    壁-LGS+石膏ボード

    LGSとは何かを考える

    前回のカテゴリではコンクリート壁を下地として、その上に石膏ボードを張っ…

  3. ホテルの客室は遮音が重要

    壁-LGS+石膏ボード

    全部のLGS壁を覚えるべきか

    耐火性能を持っているLGS壁の中で、石膏ボードを片側から施工することで…

  4. 電気工事がないとこうはならない

    壁-LGS+石膏ボード

    建築と設備の関係について

    建築の納まりを検討する際には、単純に建築の要素だけではなく、設備関連の…

  5. 建具廻りの納まり

    壁-LGS+石膏ボード

    LGS仕様を先に決めておく理由

    前回はLGS壁の下地であるLGSの規格がどのようになっているのか、そし…

  6. 施工はタイミングが重要になる

    壁-LGS+石膏ボード

    LGS壁を施工するタイミング

    建物の中に存在する壁は場所によって求められる性能が違ってくるため、まず…

スポンサードリンク




おすすめ記事

  1. 分類が新しくなった
  2. 外部窓の一例
  3. 建物をゼロから考える
  4. 最終的には室内を綺麗に見せる目的がある
  5. 床材がロールになっている状態
  6. アスファルト防水の納まり図
  7. 無垢材の特徴
  8. スイッチのイメージ
  9. コストと性能の両方を重視して
  10. 建物の風景
  1. 誘発目地の一例

    壁-コンクリート

    誘発目地について考えてみる
  2. 既製品は定尺が決まっている

    壁-納まりのポイント

    標準サイズが決まっていると……
  3. LGS壁はこんなイメージ

    壁-納まりのポイント

    LGS壁の簡単なイメージ
  4. LGSの仕様

    壁-LGS+石膏ボード

    LGSの仕様と使い分けの方針
  5. 検索しても情報の濃いサイトがあまりない…

    はじめに

    建築の納まりで有益なサイトは?
PAGE TOP