前回は床仕上材として石の納まりがどのようになっているのか、という部分について簡単に紹介してきました。
石の納まりとしては、以前紹介したタイルと似たような方向性になっているのが断面図を見て頂ければ分かると思います。

床石の納まり

下地のレベルとしては、上図のようにある程度床コンクリートのレベルを下げてことが重要になってきます。
まずは石を施工する範囲の床コンクリートレベルを下げておき、しっかりと石が納まる寸法を確保しておくというのが第一歩です。

それが出来てから次のステップに進む訳ですけど、床仕上材として石を採用する際には、考えておきたいポイントが結構あります。
まずは大前提として床コンクリートのレベルを下げておく、という話があって、その次に出てくるのは以下のような項目になります。

・石種

・表面仕上

・サイズ

・目地

ただ、今紹介した上記の項目というのは、単純に納まりについてだけを考えると、そこまで深刻に影響を与えるようなものではありません。
床石の納まりだけを考えるのであれば、床コンクリートがある程度下がっていればOKになるので、上記の項目はそれよりも少し先の話なんです。

とは言っても皆意匠的に絡むものばかりなので、知識としてある程度は持っておいた方が良い部分でもあります。
なので今回からはそれぞれの項目について簡単に説明をしていくことにします。

■石種について

床仕上材として「石」と単純に表現したとしても、実際には石の種類はたくさんあって、それぞれ石種によって色味や柄などが全然違ってきます。
また、見た目だけではなく、石種によって硬さや透水性なども違ってくるので、外部の床では採用しない方が良い石種などもあります。

このあたりを考慮すると、仕上材としての石は「どんな石種なのか」によって大きくその用途が変わってくる、ということが分かります。
ただ、世の中にある石には本当にたくさんの種類があって、建築の仕上材として採用される石はその中の幾つかに過ぎません。

なので、純粋に石の種類について説明をしてしまうと、恐らく殆どが建築と関係ない石についての話になってしまいます。
それでは何か違うジャンルの話になってしまうので、ここでは建築でよく使われる石の種類について抜粋して、それぞれの特徴を簡単に紹介しておくことにします。

・花崗岩(かこうがん)

花崗岩と呼ぶよりも「御影石(みかげいし)」という名称の方が有名かも知れませんが、どちらも同じ石のことを指しています。
石の特徴としては、まずは硬質な石材だという点が挙げられます。
そして様々な色があって磨くと艶がよく出るという特徴も持っています。

硬質な石材ということはつまり、耐摩耗性と耐候性に優れているということです。
そうした優れた特徴と見た目の美しさによって、花崗岩は建物の各所で採用されることが多い石種になっています。

花崗岩、御影石の見た目は色々な種類がありますが、最も多いのは「白御影」と呼ばれる下図のような見た目です。

白御影石

どこかで見たことがあると感じる方は多いのではないでしょうか。

ちなみにこれはあまり関係ない話ですけど、花崗岩の「崗」は第二水準の漢字なので、CADの種類やフォントによっては表示されない場合があります。
その場合は「花崗岩」ではなく、表示出来ない漢字ということで「花?岩」という表示になってしまうことになるので、CADの種類によっては注意が必要です。

・安山岩(あんざんがん)

花崗岩とはちょっと種類が違いますが、硬質で耐火性に優れた石種で、鉄平石などが有名です。
アンデス山脈で産出されることが多く、アンデス山脈を短くして漢字をあてたのが「安山岩」だそうです。

この話は私もこれは知らなかったんですけど、確認のために調べていたらウィキペディアにそう書いてありました。
受け売りを書くのはあまり好きじゃないんですけど、これはちょっと面白いですよね。
問題はその豆知識を使うチャンスがなさそうなことですが…

鉄平石の見た目はこんな感じです。

鉄平石

上図でもそれぞれの石によって微妙に色が違っています。
石材は同じ色や柄が存在しないので、その自然な雰囲気を楽しむことが出来る、という特徴を持っているんです。

・大理石(だいりせき)

大理石は恐らく石材として最も有名な石種ではないかと思います。
比較的柔らかい石種で耐摩耗性や耐薬品性には劣りますが、非常に美しい色と模様を楽しむことが出来るという点が大きな特徴になっています。
色味は色々ありますが、見た目としては以下のような感じです。

大理石

この大理石を壁の仕上材として採用すると、非常に美しい石材による高級感のある雰囲気をつくることが出来ます。
もちろん床仕上材や天井仕上材もこのグレード感に合わせる必要がありますけど、この雰囲気はなかなか他の仕上材には出せないものがあります。

大理石は見た目が美しいのですが、あまり硬質な石材ではないという特徴があります。
また、大理石は表面をしっかり磨いた方が見た目が良くなります。
しかしそうすると床仕上材としては滑りやすくなるということもあって、あまり床石には向かない石種でもあります。

・石灰岩(せっかいがん)

石種としては微妙に大理石と違っていて、細かい区分をすると別の石種ということになりますが、建築で使われる際には大理石と呼ばれることも多いです。

石灰岩の特徴は先ほど紹介した大理石とほぼ一緒で、比較的柔らかい石材で耐摩耗性には劣るものの、非常に美しい見た目を持った石材です。
一般的には「ライムストーン」と呼ばれるものが石灰岩になります。
ライムストーンの見た目はこんな感じです。

ライムストーン

それぞれの石種についてさらに細かく説明していくと非常に長くなってしまいますが、仕上材としてはこのあたりの特徴まで押さえておけば大丈夫だと思います。