意匠よりも大事な事もある

このカテゴリでは、床仕上材のひとつである石の納まりについて、色々と説明をしてきました。

前回は石の表面仕上げには色々な種類がありますよ、という話でしたが、床には使わない仕上もたくさん書いてしまいました。

床仕上材としての石であれば、ジェットバーナー仕上とジェット&ポリッシュを紹介すれば大体OKなんですけど……

それだけを抜粋するのも変な感じがして、結局は大体の表面仕上げを紹介することになりました。

石は床にも壁にも使われる材料ですが、床仕上材に求められる性能は、当たり前ですが壁仕上材とは少し違います。

床仕上材としての石に求められるのは、大抵の場合は以下のようなポイントになってきます。


・防滑性能

・耐摩耗性

・意匠性


これは個人的な見解ですが、上にある項目ほど重要度は高いように思います。


■安全性が最も重要


石の表面仕上げとして最も美しく見えるのは、恐らく本磨き仕上ではないかと思います。

割り肌仕上の荒々しさも魅力的で、採用する場所によっては本磨きよりもマッチする場合も多いですが。

それでも、単純な仕上げ材の美しさでは、やっぱり本磨きに軍配が上がるんじゃないかと思ってます。

まあ勝ち負けを競う話じゃないですけど。

もちろんコストという問題もありますが、建物の意匠性を重視するのは設計者として当然のことです。

しかし、だからと言って、床仕上材として石を採用する際に、本磨き仕上を選択することはなかなか出来ないんですよね。

建物を利用する方の安全性を考えると、どうしても本磨きではなく、ジェット&ポリッシュなどを選択せざるを得ません。

 


■優先順位を考える


確かに本磨きで仕上げた花崗岩の床は、写真などで見ると非常に見映えが良いものです。

さすが石だよな……という高級感もあるので、パブリックスペースの床で使いたくなる気持ちも分かります。

しかし、以前にも書きましたが、本磨き仕上は表面を研磨する訳ですから、滑りやすいという特徴を持っています。

水に濡れるとさらに滑りやすくなり、防滑性能はもう無いに等しい状態になってしまうんです。

床仕上材に求められるのは、意匠性も大事ですけど、その建物を利用する人の安全が一番大事。

そういう点から考えると、やっぱり石張り本磨き仕上の床というのは、なかなか採用出来ないものなんです。

この建物では意匠が最優先だから。

そういう強いポリシーで設計をすることは、そういう姿勢も含めて大事なことだと思います。

でも建物が出来上がった後で、雨の日に転倒する人が年間数人出る、という現実の前にして「意匠優先」とは言えません。

まあ言うことだけは出来ますけど、その言葉にどれほどの説得力があるのか、という話です。

実際の話、建物竣工時は本磨きだった床を、改修でジェットバーナー仕上にした建物を私はいくつか知っています。

実際に建物を使う人は、もちろんデザインも気にはしますけど、建物利用者の安全を重要視しますから。

 

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