水勾配と床仕上げ材の関係

アスファルト防水を施工する部屋では、コンクリートスラブを下げて防水を施工するスペースを確保する必要があります。
これがまずは絶対に必要な対応で、その次に「どの程度下げておくか」の検討をする際には、その部屋で使われた水を排水するために必要な条件を考えることが求められます。

水を流すためには排水溝を設けることと、床仕上天端に勾配を付けておくことが必要になってきて…というあたりの話を前回は取り上げました。
建築の納まりを検討していく中で、床の勾配を決めるという作業はかなり厄介というか、面倒くさい存在ではないかと思います。

だから本当はシンプルに勾配をなくしたいところなんですけど、勾配をつけておかないと後でさらに厄介な話になることが確実なんですよね。
後で苦労をしてお金も余計にかけた上、さらに信用を失うのが良いのか、最初から勾配の検討をしておくのが良いのか。

そう考えると答えは決まっているので、面倒であっても勾配の検討はやっておくしかない、ということになります。
本当に当たり前すぎる結論になってしまいました。

そもそもの話として、仕事でやる作業ですから「面倒だからやらない」という方向性は全然なしなんですけども。
そう思ってしまうこともあるくらい、水勾配や防水の納まり検討は面倒な場合がある、ということです。

単純に私が苦手なだけの可能性もありますが…

そんな面倒な水勾配について説明するにあたり、前回は簡単に描いたサンプル平面図で一般的なプランを紹介しました。
ただ、場合によっては紹介した勾配が実現出来ない場合もある、という話を今回は紹介しておこうと思います。


■床仕上げ材の選定

厨房やシャワー室や大浴場など、常時たくさんの水もしくはお湯を使う部屋にはアスファルト防水をすることになります。
そして床仕上材について個別に説明した際にも書きましたが、そうした部屋の床仕上材は水との相性が良いものを選定します。

厨房の場合は塗床もしくはタイルを選定することが多く、大浴場などでは意匠を考えてタイルもしくは石を選定される場合が多いです。
いくつかある選択肢の中でどんな床仕上材を選定するのかは、建物のグレードと部屋の用途などの条件によって決まります。

部屋のグレードによる仕上の違い

例えばホテルの大浴場であれば意匠を重視して石を採用することになり、社員寮の大浴場であればコストを重視して浴室用タイルになる可能性が高いとか。
建物のグレードと部屋の用途を踏まえて床仕上材を選定するためには、何を一番重視するかを考える必要がある訳です。

こうした話は仕上材全般に言えることなので、今さらアスファルト防水の納まりについての説明でする話ではありませんが…
水廻りの部屋ではタイルや石が選定されることが多い、ということは間違いありません。

床仕上材が石だったりタイルだったりする場合には、その床仕上材の特徴から、床の水勾配検討がさらに複雑になる可能性もあります。


■硬質な床仕上材の宿命

タイルと石はどちらも似たような床仕上材ではありますが、材質やグレードが結構大きく違っています。
グレードとしては石の方が全然上で、当然コストも高くなる傾向にあります。

しかし硬質であることと、ある程度決まったサイズの材料を並べて仕上げていく床仕上材である、という共通部分があります。
硬質であるという特徴は、基本的に水を中に含まない(=水が浸透せずに表面を流れていく)ことになり、特に水を使う部屋では重要な要素になっています。

しかしこうした床仕上材の特徴によって、水勾配を検討する際の自由度はどうしても低くなってしまうんです。
タイルも石も硬質な材料であるため、斜めに折ることが難しい、というのが水勾配の自由度が低くなる原因です。

前回紹介した平面図では、部屋の外周を水上として排水溝に向かって水を流すという方針によって、床のレベルを設定しています。
そうすると当然の結果として、勾配が交差する部分が発生して、そこには自然と折れ線が発生することになります。

平面図で言うとこの部分です。

勾配の折れ線

こうした折れ線を図面上で表現することは、シンプルに線を引くだけの作業ですから非常に簡単に出来てしまいます。
でも実際には、石もタイルも硬質で四角形という仕上材としての特徴があるので、斜めに線を入れることなんて出来ません。

硬質な床仕上材を少しだけ曲げる、みたいなことは難しいですよね。
どうしてもタイルや石を折りたい場合には、折る部分に合わせて石やタイルを切って別々にする必要があります。

そうすれば別々の床仕上材となってそれぞれ違う勾配にすることは簡単になります。
ただ、せっかく四角形のグリッドが特徴である石やタイルを斜めに切るというのは、意匠的にそれはあまりやりたくないことなんです。

もちろんどうしても仕方がない場合もあって、その見た目にするしかない状況も多いですけど、出来ることなら避けたいというのが本音。
なので、次回は出来ればこういう勾配にしたい、という理想的な話をもう少しだけしてみたいと思います。

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