建物を構成する壁の中で、LGS壁に求められる性能にはどのようなものがあるのか、という話を前回は考えてみました。
具体的な性能としては以下のようなものを挙げてみました。

・部屋と部屋を区切るための壁

・音を遮断する為の壁

壁が持っている最も基本的な性能として、まずは部屋を区切るという性能がまずはあって、その基本性能にプラスして音を遮断する性能を追加する壁もある。
もちろん遮音性能を持った壁の方がコストが高くなるので、全部の壁で採用する訳にはいかず、必要と思われる壁にのみ採用していく。

そういったニュアンスになります。

壁として音を遮断する性能を持っているのか、それとも遮音性能を持たないごく普通の壁なのかによって、居室の快適性は大きく変わります。
私の家を例に出してみると、今この文章を書いている部屋と寝室との間にある壁はごく普通の壁で、遮音性能は全然持たせていません。

だから当然の結果として、私の部屋で発生する音は寝室に丸聞こえ状態です。
パソコンから流している音楽もそうですし、こうしてキーボードを打つ音も結構大きめに響いているようです。

もちろん自宅というプライベートな場所ですから、話す声が隣の部屋に聞こえたら困るとか、深刻なクレームがくるなどはありません。
そうした配慮は必要ないという判断のもと、壁の性能を一般的な壁にしているので、音が聞こえるのはある程度想定内なんです。。

深夜に音楽を聞きながら文章を書く時に少し困るくらいですけど、これもヘッドホンを使えば良いだけの話ですから。
要するに「どの部屋に遮音性能が必要なのか」を選定しておくことが重要で、全ての壁に遮音性能を付加する必要はありません。

そうした選択も出来なくはないですけど、かかるコストに対して得られるリターンは少ししかない状態になるので、満足感はそんなに大きくならないはず。
必要な場所に必要な性能の壁を設置する、というのがコストと居住性のバランスを考えるとベストだと言えるでしょう。

今回はもう少し遮音壁について考えてみることにして、どんな部屋に遮音壁を使うかを紹介してみます。

■遮音性能が必要な部屋

建物の中で遮音性能が求められるような部屋にはどのようなものがあるのか。
これはそこまで厳密な決まりがある訳ではありませんが、普通に考えると音が漏れてしまうと困る、もしくは周囲の音が聞こえてくると困るような部屋です。
もう少し具体的に言うと、だいたい以下のような部屋には遮音性能が必要ではないかと思われます。

・トイレ

・会議室

・スタジオ等

・マンションの住戸

・病室

他にも色々な部屋があるとは思いますが、主旨としては何となく伝わるのではないでしょうか。
先ほども書きましたが、遮音壁を設置する目的としては「隣の部屋に音を漏らしたくない」又は「隣の部屋から余計な音が聞こえたくない」のどちらか、もしくはその両方です。

トイレについて考えてみると、やはり用を足す時の音が外部に聞こえてしまうような状態では、特に女性は困ってしまうはずです。
だからトイレまわりの壁は遮音性能が必要になってきます。

男性の中にはあまり気にしない方もいますけど、聞かれる側ではなく、用を足す音が外から聞こえてしまう状態が困ることもありますよね。
そうした音を聞かされる側の気持ちを考えると、やはり男子側のトイレであっても壁に遮音性能は必要ではないかと思います。

ホテルのシングルルームとかワンルームマンションなどで、自分しか住んでいないという前提の部屋であれば、居室とトイレの間にある壁を遮音にしないこともあります。
そうすると結構トイレの外に音が聞こえてしまうんですよね。

そのあたりはどこまでお金をかけるのか、という方針によって、どこまで遮音壁を設けるのかが変わってくるので「こうすべき」みたいな話はしにくいですが…

また、会議室の周囲を囲っている壁についても、行われる会議の内容によっては、内容が隣の部屋に聞こえるのは非常に困る場合もあるでしょう。
逆のパターンとして、廊下の騒ぎ声が会議室内に思いっきり聞こえるような部屋で会議をする、というのもあまり好ましくありません。

遮音性能が必要な部屋の例

音楽スタジオなどの大きな音を出すような部屋では、話をする音だけではなく、楽器の音などから遮音する必要があるので、もっとランクの高い遮音性能が必要になってきます。
マンションの住戸や病室など、出来るだけプライバシーを守りたい場所では、遮音性能があれば快適さが増します。

と、このように、遮音性能が必要になる部屋というのは結構あるものです。
一口に遮音性能を持った壁とは言っても、LGS壁の構成によって、どの程度遮音性能を発揮することが出来るのかが違ってきます。

先程も出てきましたが、楽器などを演奏する部屋であれば非常に高い遮音性能が必要ですし、会議室ではそこまでの性能が不要な場合もあります。
結局は適材適所という言葉で括ってしまいますが、これは非常に重要な要素なんですよね。

このあたりの細かい仕様については後でまとめて紹介することにして、次回は耐火性能を取り上げてみたいと思います。