フローリングには大きく分けて二種類、単層フローリングと複層フローリングという分類があって、前回はそのひとつである単層フローリングの特徴について考えてみました。

無垢材が持っている美しさや質感、そして天然素材特有の均一にはならない見た目。
そして木が持っている空気中の水分を吸収する性能、その一方で水分を吸収することによる伸縮や反りなどの暴れやすさ。

これらはいずれも木が持っている大きな特徴で、特に無垢材はその木の特徴が大きく出てしまいがちな材料なんです。
無垢材にはこうした大きな特徴があるので、それをしっかりと踏まえた上で仕上材を選定していくことが重要になってきます。

「無垢材の方が本物っぽいから」とか「高級な仕上材の方が良いはず」というような理由で無垢材を選定したくなることは結構多いかも知れません。
しかしこうした安易な理由で無垢材を選定すると、後で色々な問題が出て後悔することになる可能性があるので注意が必要です。

施工会社によっては、後々でトラブルになることを懸念して、無垢材のフローリングは採用しない場合も多いです。
いくら事前に「無垢材は天然木の特徴が出やすくて暴れますけど良いんですか?」と念押しをしても、施主はなかなかそこまで想像出来ないものです。

実際にそれを目の当たりにすると「ホントに暴れるんですね」だけでは済まず、クレームのもとになってしまう可能性が高い。
そんな酷いことにならないように、施工する側も無垢材については気をつけて施工をする必要があるんですが…

なぜ無垢材で構成された単層フローリングだけでなく、木材をスライスして加工した複合フローリングが存在するのか。
これを考えると、やはり安定した材料というニーズはかなり大きいのではないかと思います。

さて、今回は単層フローリングと対をなす存在である複合フローリングを紹介していきましょう。

■複合フローフィングとは何か

複合フローロングというのはその名前の通り、材料を構成する木が幾つかの層で構成されている商品を指しています。
もう少し具体的に表現すると、まずは下地の層として合板があって、その上に化粧材を貼り付けたタイプの商品を複合フローリングと呼びます。

複合フローリング

表層だけを化粧材にしているとは言っても、基本的には木材を使っているし、下地の層が見えることはありません。
なので、単層フローリングと比べて複合フローリングの見た目が大きく劣る、というようなことは全然ありません。

表面に見えてくる部分だけ本物を使った方がコスト的には安くなるので、購入する側としてはそれだけで大きなメリットがある訳です。
ただ、ここでコストのことだけを考えて極端なことを考えてしまうと、表層に貼り付ける仕上材は別に木ではなくても良いかも知れない、という意見もあります。

例えばキズやヘコミなどの耐久性を考慮すると、木目に見えるけれど実は塩ビ系のシートを貼った方が良いんじゃないか。
と、そんなことを考えてしまう訳です。

そうすると見た目は木だけど安価で耐久性のある床仕上材になる。
まあこれではちょっと本末転倒な気もしますけど、実際に表層に特殊シートを貼り付けた商品も結構見かけます。

特殊シートというのは、オレフィンや紙のシートに木目や石目、抽象柄を印刷したもの。
石目?と思われる方もいると思いますが、木目よりも石目の方が映える部屋もありますから、ニーズは結構あるんですよね。

石は見た目が非常に良いんですけど、ちょっと素足では冷たいですし、何しろ高いという問題があります。
なので、石目調みたいな仕上材は結構あったりします。

これを考えていくと結局塩ビタイルになって、フローリングとは関係ない話になってしまうので、このあたりでやめておきましょう。

■複合フローフィングの特徴

そんな複合フローフィングの特徴は、今までの話で一通り書いてしまった気もしますが、木が持っている欠点を少し減らしたようなイメージになります。

・材料の組み合わせで色々と性能を付加できる

・表面材にバリエーションが多い

・伸縮や反りが少なく比較的安定している

・施工が容易

・無垢材よりも安価である

・表面材より深いキズがつくと極端に見た目が悪くなる

・接着剤などを使うため自然素材とは言い難い

無垢材を使った単層フローリングは木の質感をそのまま生かしますが、複合フローリングはそうしたことを重視しない商品になっています。
だからこそ表面材のカラーバリエーションは豊富で、安定した材料で施工が容易になり、価格も安価になるというメリットがある訳です。

無垢材であることに強いこだわりを持っていなければ、メリットの多さやコストを考えて複合フローリングを選ぶ方が多いと思います。

毎日触れる床材として、本物の木から切り出した1つの部材である必要があるかどうか。
この質問には「Yes」の方もいるし「No」の方もいるはずで、色々な考え方があってどちらが正解とかいう話ではありません。
しかしこの点が、単層フローリングと複合フローリングの選択を分ける決定的な要素なんです。

私としては、どちらの商品にも良い部分があるので、部屋の用途やグレードによって使い分けていくしかない、としか言えないですが…
自宅で採用するのであれば、やはり安定性や価格などを考えて複層フローリングを選定するのではないかと思います。