前回はタイルという床仕上材がどのような材質で構成されているのか、そして大まかなタイルの分類についての考え方を紹介しました。
ただ、タイルの大まかな種類について説明をしていく中で、結局は「その分類を意識することはあまりないです」みたいな変な話になってしまいました。
説明の組み立てが下手で分かりにくい状態になってしまい申し訳ありません…
タイルの分類は大きく3種類に区分されているけれど、これは知識として知っているだけで充分なんです、という話でした。
それよりもタイルメーカーのカタログで、それぞれの部位に適したタイルの表記があるので、そちらを重視した方が確実なんです。
例えば床タイルなのにツルツルで薄いタイルを選定すると、まずは雨の日に滑りやすくて危険という問題があります。
そして薄いと人が歩行した際に割れやすいという問題もあるので、これらを考えると外部の床タイルとして適切ではないということに。
こうしたミスマッチはクレームの原因になるので、タイルを販売するメーカーとしては絶対に避けたいところ。
そうした理由から、メーカーのカタログには「外装床:◎」「内装壁:×」みたいな表記があり、タイルを選定する側への注意喚起をしている訳です。
なのでタイルを選定する場合には、タイルの分類ではなく、素直にタイルのカタログに記載されている内容を参考にするのが正解なんです。
仕上材としての見た目や質感も重要な要素ではありますが、それはあくまでも求められる性能を満たしたあとの話です。
まずは性能を満たすため、適切な場所に適切な種類のタイルを選定していくことが基本になります。
ただ、他の床仕上材に比べて床タイルにはどんな特徴があるのか、という話もあるので、今回は床タイルの特徴について考えてみる事にしましょう。
■床タイルの特徴
かなりざっくりと書いてしまうと、土や石を混ぜて一定のサイズに加工し、それを高温で焼いたものをタイルと呼びます。
その構成や表面に釉薬をつけるかどうかなどによって、タイルの表面がどのように見えてくるのかが変わってくる訳です。
表面の質感による違いはあるにしても、タイル自体の特徴というのは種類によって大きく変わるものではありません。
こうしたタイルの特徴を考えていくと、床仕上材としてのタイルに限った話ではなく、タイルという材料の特徴が見えてきます。
具体的には以下のような特徴をタイルは持っています。
・意匠性に優れている
・耐久性、耐候性に優れている
・化学的安定性がある
・熱に強く安定した材料である
・水にも強い材料である
・耐摩耗性に優れていてメンテナンスが容易
・ただし割れるとメンテナンスが大変
・製品によっては水に濡れると滑りやすい
・比較的高価な仕上材である
・素足では冷たい
床仕上材としてのタイルには上記のように様々な特徴がありますけど、全体的に見るとなかなか良い方向の特徴が多い仕上材ではないかと思います。
コスト的な問題がちょっとネックかも知れませんが、これはある程度仕方がない話です。
見た目に高級感があるので、建物の中で部分的に「ここはグレードを高く見せたい」というような部分でタイルは活躍します。
■よく使われる場所
床仕上材としてタイルには上記のような特徴があり、最大のメリットとしてはやはり見た目が美しい製品が多いという点が挙げられます。
そうした特徴があるため、建物の中でタイルが選定されるのは、一般的には以下のような部屋になる場合が多いです。
・エントランス(意匠性・耐久性・耐水性)
・風除室や外部(意匠性・耐久性・耐水性)
・浴室(耐水性・水洗いなどのメンテナンス性)
・トイレ(意匠性・水洗いなどのメンテナンス性)
左側に記入したのが建物の部位で、( )の中に記入しているのがタイルを選定する大きな理由になります。
建物の顔とも言えるエントランスホールや風除室など、高い意匠性を求められる場所に床タイルが採用されることが多いんです。
やっぱりタイルは格好良いですからね。
落ち着いた色や質感、水に濡れても変質しない材料の性質、高い耐摩耗性などなど。
こうしたメリットを考慮していくと、ある程度コストが高くても、タイルというのはやはり有力な候補になるんです。
もう少しグレードが高くなると、選択肢は少しずつ「タイル」から「石」に移行していくことになりますが…
私の個人的な意見としては、タイルでも充分にグレード感があると思っています。
もちろんカーペットでも高いグレード感を示すことは出来るんですけど、残念ながらカーペットは水に弱いですからね。
フカフカで高いデザイン性を持ったカーペットも、濡れてしまうとちょっと台無しみたいなところがあります。
簡単にモップをかけることが出来るタイルは、やはり外部からのアクセスが多いエントランスに適した仕上材だと言えるでしょう。
そうした特徴があるタイルの具体的な納まりはどうなのか、という話は次回に続くことにします。