型枠の割付と開口の関係とは

建物を構成する壁をどのような見せ方にするか。
そうした意匠的な部分について検討した際に、場所によってはコンクリート化粧打放し仕上として見せたい部分も出てきます。

このカテゴリの最初あたりで紹介したように、コンクリート化粧打放し仕上は施工者側が結構苦労する納まりになりがちです。
施工者側が大変なだけで設計者としては関係ない、ということではなく、結局施工者が苦労した内容は設計者にも返ってくることになります。

つまり、施工者が苦労をした割には、最終的に意匠設計者側が期待するような見え方のレベルまで届かない可能性もある、ということ。
そうしたリスクがあることを承知でコンクリート化粧打放し仕上を選定するのであれば、できるだけ事前に色々準備をしておいた方が良いです。

というような趣旨で、型枠の割付とセパ穴の割付をどのように考えるのか、という例を前回は紹介してみました。

せっかく頑張ってコンクリートの打設が綺麗に出来たとしても、型枠のラインとセパ穴の位置が全然揃っていないと、壁としてはあまり美しくは見えません。
それでは困るので、まずはしっかりと施工が上手くいくことを前提として、図面上で最終的な見え方の検討をするという考え方です。

型枠を縦向きに配置していくのか、それとも横向きに配置していくのかによって、壁が出来上がった際の見え方としてはかなり違う雰囲気になります。
そのあたりのイメージを持つことは設計者の役割ですから、コンクリート化粧打放しを採用する際には、あらかじめ考えておくと良いでしょう。

セパ穴の位置についても、ある程度型枠に合わせることになるのが自然ですけど、ある程度イメージを持っておくことは必要です。
設計者がこだわりを持っていない部分については、どうしても施工者側の「やりやすさ」が優先されがちなので。

コンクリート化粧打放しのパネル割とセパ割について、基本的な検討はこのあたりまでで充分ではないかと思います。
まずは基本的なパターンとその理屈を知っておくことが重要なので、人に説明出来るくらいまで基本的な知識を持っておきましょう。

ただ、石でもタイルでも同じなんですけど、割付というのは基本パターンだけではなく色々な部分が絡んでくることにどうしてもなってしまいます。
面積が広い部分の一般的な割付例を出しても、実際の業務にはあまり役に立たない場合が多い、というのが正直なところ。

なので今回はもう少し深く突っ込んで、型枠とセパ穴の割付に関連するいくつかの要素を紹介しておこうと思います。
まずは出入口や窓などの開口と型枠の割付について考えてみましょう。


■開口がある場合どうするか

部屋と部屋を仕切る壁、もしくは部屋と屋外を区分するための壁には、当然のことですが人が出入りするための仕組みが必要になります。
そうしないと目的の部屋に入れない状態になったり、そもそも建物の中に入れなかったりなど、建物として成り立たない状態になってしまいます。

もちろんそんな建物をつくることは出来ないので、壁にはプランを考慮して適切な位置に出入口を設けることになります。
その考え方は、壁がコンクリートの場合も同じです。

建物に必要な窓

建物を利用する人の動線や使い勝手、採光や換気・排煙などの法的な制約などにより、建物には色々な部分に扉や窓が取り付けられます。
様々な理由によって設けられる扉や窓の位置は、コンクリート化粧打放しの壁ではかなり重要になってきます。

型枠やセパ穴の割付に対して、どこに扉や窓が取り付くのか。
壁に扉や窓が取り付けられるということは、コンクリートの壁に対して穴が開くということを意味しています。

その穴の位置が型枠とセパ穴の割付に対してどのような関係になっているのか。
これが見た目に大きな影響を与えることになります。
例えば前回例に出した壁に扉を設けたくなった場合、どちらが意匠的に好ましい扉位置だと感じるでしょうか。

化粧打放しの壁に開口を追加した例

これはさすがに極端過ぎる例ではありますが…
どちらかと言えば上図の方が割付に合っていて、事前に検討をしたんだな、という印象を与えるのではないかと思います。


■セパ割はひとつの条件に過ぎない

もちろん開口の形状は型枠の割付と開口サイズを合わせることだけを考えれば良い、というほど話は単純ではありません。
それだけを考えればOKであれば楽な仕事なんですけど、現実はなかなかそうはいかないものです。

こうした型枠の割付というのも、開口サイズを決める為の判断材料のひとつに過ぎないんですよね。
検討すべき要素はなにも見た目だけの話ではありません。

扉には人が通っったり荷物を運び入れたりする為、必要な幅と高さというのがある程度決まっています。
採光や排煙などは面積に法的な決まりがあるため、最低限これは必要という基準が部屋によって決まっているものです。

それを無視して型枠の割付に合わせた扉にしても、それは単なる設計者の自己満足と言われて終わりです。
誰も喜ばないことをやっても意味がないので、まずは建物の用途や目的にあった性能の開口を守る。

こうした前提がまずはある訳です。
それを踏まえた上で、その開口が型枠の割付に綺麗に合っている、という状態になるのが理想的ではないかと思います。

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