建物を構成する壁の中で非常に多く採用されることになるLGS壁について、その特徴がどこにあるのかを前回は考えてみました。
同じく壁種のひとつであるコンクリート下地壁に対してどうなのか、という比較になってしまいがちでしたが、これはある程度仕方がないことでしょう。
コンクリート下地壁と比べると、LGS壁には以下のような特徴があります。
・薄くて済む
・施工が早い
・軽い
・ただし強度はやや劣る
・水には弱い
・色々な性能が選べる
こうした特徴を持っている、という話でしたが、やはりメリットに目を向けるとなかなか優れた性能を持っていることがわかります。
コンクリート壁と比べると軽いけれど強度は劣ってしまう、というのはもう材料としての特徴なので仕方がありません。
そこを見てデメリットと言っても良いのか、これは正直言ってかなり微妙なところだと思います。
コンクリートと比較すれば確かに強度は弱いけれど、壁として見たときにどうなのか、という部分が重要ですよね。
充分な強度を持っている壁だからこそ、大抵の壁はLGS下地で作られることになる訳で、それを考えるとそこは大きな欠点にはならない気がしますよね。
今回はもう少しLGS壁の特徴について考えてみて、その後もっと細かい部分の説明に進んでいこうと考えています。
■解体の手間もある
基本的にコンクリートという材料は、まずは鉄筋が中に入った状態の型枠を作成して。そこに生コンを流し込んで強度が出るまで待つ必要があります。
出来上がるまでに結構な手順と時間が必要になってくる訳です。
しかしその分だけ強固な壁が出来上がることになる訳ですけど、やはりどうしても完成までに時間がかかってしまいます。
そして強固な壁になっている分だけ、施工した後で必要なくなった場合には、壊すのがかなり大変という特徴もあります。
この「後で壊すのが大変」というのが結構大きいんです。
全ての壁をコンクリートで作ってしまうと、後でプランを変更したくなった時に、解体にかかる費用が大変なことになります。
お金がかかってしまうのは当然辛いんですけど、さらに解体するためには時間が必要になるし、さらに解体時の騒音が大きいという厳しい状況になります。
また、解体したコンクリートは産廃として処理するため、さらにお金がかかってしまうというおまけもついてます。
こうした現実を考えていくと、コンクリートの壁は「あまり手軽な存在ではない」ということになってしまいます。
なので、どうしてもコンクリートにしなければならない壁は別として、出来るだけ後のことを考えてLGS壁を採用した方が良いのではないか。
私はそう思っていますし、おそらく私と同じ意見の方は結構多いのではないかと思います。
そうした「重たい」コンクリートと比較すると、やっぱりLGSはその手軽さが大きなメリットだなと感じます。
材料さえ手配出来ていればすぐに建てることが出来て、LGSを建てた後で強度が出るのを待つ必要もありません。
そして解体するのもそこまで大変ではないので、後から計画変更をしようという話があった場合には、圧倒的にLGS壁の方が楽です。
この手軽さがLGSの最大の売りではないかと思います。
■乾式と湿式と
ここではもう少しだけLGS壁とコンクリート壁を比べてみます。
まずコンクリートについてですが、一般的にコンクリートは「湿式壁」と呼ばれていて、つまり水を使った施工をする種類に入っています。
コンクリートはセメントと骨材と水などを混ぜて化学反応をさせるため、当然のことではありますが水分を含んでいる訳です。
そうしたコンクリートに対してLGS壁は「乾式壁」と呼ばれています。
要するに軽量鉄骨という乾いた材料(こんな呼び方は実際しませんが)を使って手早く施工をしていく、という考え方です。
もちろん湿式工法が悪くて乾式工法が良い、みたいな単純な話ではありませんが、一般的な壁として使う分には乾式工法の方が都合が良いんですよね。
これらの違いはやはり大きいです。
また、LGS壁はコンクリート壁に比べると、壁の厚みもそれほど大きくならないという特徴がありますが、これも結構ポイントが高いです。
コンクリートは必ず中に鉄筋を入れる必要があるので、壁を薄くしようとしても、100とか90くらいが限界です。
それ以上薄いRC壁にしてしまうと、鉄筋のかぶりが確保できない状態になるので、物理的にというか構造的に無理という状況に。
しかしそれがLGS壁であれば、壁の性能をどこまで求めるのかによって変わってきますが、壁厚100くらいであれば実現は可能です。
もちろんそうした手軽さだけが重要なポイントという訳ではなく、コンクリート壁がどうしても必要な部分も当然あるんですけど…
一般的な間仕切り壁だけを考えると、手軽さや薄さなどのメリットがあるのでLGS壁の方が採用される機会が多い。
これは間違いのない事実なので、まずはそうした特徴を掴んでおきましょう。