床仕上材としてカーペットが持っている特徴の中で、実際にどのようなメリットがあるのかなど、カーペットについての話が少し長くなってしまいました。
個人的にかなり好きな部類に入る床仕上材なので、良さを伝えたいという気持ちでどうしても話が長くなってしまいがちなのかも知れません。

実際に携わるプロジェクトの種類によっては、カーペットを採用するような部屋なんて全然見当たらない、という場合も結構な割合であります。
もうほとんどの部屋が長尺塩ビシートで、床仕上材を頑張る部屋でもタイルカーペットの一番低いグレードを選ぶとか。

もちろん建物の種類によって方向性が違っていて、機能性とコストを重視する考え方が悪い訳ではないことも充分理解しています。
ただ、色々な仕上材を選定する側としては、石とかタイルとかカーペットなどを使った部屋がないと寂しく感じるのも本当なんですよね…

やっぱり少しは特殊な仕上材を使って特別な部屋や空間を作っていきたい。
そうした思いを抱くのは、設計者として当然の気持ちではないかと思います。
こうした感想を持つか持たないかは、建築関連の仕事をしている中で、具体的にどのような立場で建物と関わってくるのかによって少し違ってきます。

施主として建物に関わる場合は、カーペットなんて高くて選択肢に入らなくて、コストパフォーマンスを重視したいと思うかも知れません。
設計者として建物に関わる場合は、やっぱり見た目や質感のバリエーションが豊富なカーペットを選定したと思うかも知れない。

施工者として建物に関わる場合は、選定された製品がまずは通常在庫品であること、つまり発注したらすぐに納品される製品なのかが気になるかも知れません。
特注の製品で発注から数ヶ月かかります、みたいな製品を選定されると、実際に施工する側としてスケジュール管理が非常に難しくなってしまうので。

こうして少しずつ立場によって考える事が違ってくる訳ですけど、床仕上材としての特徴が変わる訳ではなく、その特徴をどう受け止めるかが違ってくる訳です。
なので、まずは知識としてそれぞれの特徴を知っておくことは、建物に関わる仕事をするプロとして決して無駄にはなりません。

と言うことで、前回はカーペットが持っている仕上材としてのメリットを紹介したので、今回はデメリットについて考えてみましょう。

■カーペットのデメリット

カーペットのメリットについて考えてみると、やはりカーペットを構成する素材が持つ「柔らかさ」という特徴が大きく出たものになっていました。
こうした素材感というのはカーペットならではのもので、硬質な仕上材にはなかなか出すことが出来ないものではないかと思います。

カーペットの素材感

床仕上材のグレードだけで考えていくと、一般的には石やタイルといった硬質な床仕上材の方がハイグレードであるとされています。
しかしいくらグレードが高い床仕上材であっても、カーペットが持っている「柔らかさ」という特徴を超えることは出来ない場合が多いです。

価格が高かったりグレードが高かったりする床仕上材だから、安価な床仕上材と比較して全ての面で優れているという訳ではない。
これは当然のことではありますが、判断を狂わせる原因になり得ることでもあるので、床仕上材を選定する際には注意しておきたいところです。

その一方で、カーペットにはどのようなデメリットがあるのかについて考えてみると、先程も挙げた柔らかさがどうしてもネックになってくる。
素材が持っている特徴の良い面がメリットになり、そうでもない面がデメリットになる、というのは仕方がないことですよね。

・汚してしまうと大変

・夏はどうしても暑く感じる

・ダニなどが心配

・価格が高め

カーペットが持っているデメリットには上記のようなものがあります。
これは先ほどもも書いたように、素材が持っている特徴が出ているものなのである程度は仕方がない部分だと考えるしかありません。

■デメリットを克服した商品も

カーペットが持っているデメリットについては、それぞれその弱点を克服した商品が開発されていることもあります。
例えば汚れにくいカーペットとか、防虫のカーペットとか。

そうしたプラスアルファの性能を持っている製品を選定することで、ある程度カーペットのデメリットを少なくすることが出来ます。
ただ、価格とか汚れやすいなどのデメリットについては、タイルカーペットという製品がその答えなのではないかと個人的には思っています。

カーペットに比べれば安価で、汚れた部分だけを交換できるというタイルカーペット。
これはカーペットが持っているデメリットを出来る限り解消している商品で、だからこそこうして普及しているのでしょう。

ただ、そうは言ってもそれは「カーペットの中では」という話で、やはりビニル床シートに比べれば汚れには弱いです。
これは素材が違うから当たり前の話で、そこを解消するような画期的な製品はいまのところ発売されていません。

汚れに強いビニル床シートが最高の床仕上材かというと、まあそんなことは全然ありません。
逆に見た目が非常に良いけれど汚れやすいカーペットがベストという訳でもない。
このあたりの話は正解がないという意味で、結構難しいのではないかと思います。

グレード感や機能性など、床仕上材の特徴を表す項目は色々あるので、それらの特徴を踏まえて仕上材を選定するする。
これが地道ではありますが正解なのではないかと思います。