コンクリート化粧打放し壁を綺麗に見せるためには、型枠をどのように並べてコンクリートを打設するのかを意識しておく必要があります。
それによって型枠のジョイントが線として見えてくる位置を調整していき、さらにはセパ穴の配置も出来るだけ均等に見せておく。

そうやって検討・調整した結果として、型枠の線とセパ穴の配置が一定のパターンで連続するようになって、壁として美しく見えてくる訳です。
たとえ、建物を利用する一般の方がほとんどセパ穴の配置を気にしなかったとしても…やはり建築のプロとしてはそこを気にして悩んでいくことになります。

セパ穴を綺麗に配置するという検討のそもそも話として、なぜコンクリートの壁にはセパ穴が必要になってくるのか。
そのあたりの話を前回は一般的な納まりと合わせて簡単に紹介してみました。

コンクリートを流し込む際にかかる力は相当な大きさなので、それに耐えられる程度のピッチでセパレータが必要になってくる。
つまりは施工の都合でどうしても必要な要素ということになる訳ですけど、セパ穴があったとしても見た目はそれ程悪くないのではないか。

そう個人的には思っています。
もう「もともとセパ穴はあるもの」と考えると、それを綺麗に配置しておけば見た目が悪くなることは実際ないはずです。

ということで、今回はセパ穴のピッチを検討する流れについて考えてみることにしましょう。

壁の厚さやコンクリートを打設する高さなどによって、壁の型枠に掛かる力は少しずつ違ってくることになります。
そのため一概には言えないところがありますが、壁には450mmもしくは600mm程度のピッチでセパレータを入れていくのが一般的です。

もちろんセパレータのピッチを決めるためには型枠に掛かる力の計算が必要になるので、ここで一般的な話をしてもあまり意味がないですが…
そのセパレータのピッチによってセパ穴の位置が決まってきて、そのセパ穴が最終的な鐘仕上でも見えてくることになる訳です。

セパ穴位置をどのように配置していくのかを検討する図面として「セパ割図」があります。
もしくは、セパレータの位置は当然Pコンの位置と同じになるので、「Pコン割」と呼ばれることもあります。

セパの位置は型枠パネルの割付と同じ関係にしておくことが一般的なので、まずは型枠の割付をしておき、そこにセパ穴の位置を記入した方がスムーズです。
そうなるとコンクリート化粧打放し仕上の見え方を検討する図面を「パネル割」と呼ぶ人もいて、もうどれが正解なのか…

と思ってしまいますが、どの表現も正解なので仕方がありません。
建築用語の中には、全く同じ意味なのに全然違う言葉で表現するとか、人によって呼び方が違うけど言っていることは同じ、という言葉が結構あります。

「セパ割」とか「Pコン割」とか「パネル割」もそれと同じで、最初は戸惑うことになるとは思いますが、もう覚えて慣れるしかありません。
今回はそんなセパ割図の一例を出してみたいと思います。

■パネコート600の場合

コンクリート壁に配置していくセパレータのピッチは450mmや600mmが一般的で、という話を先ほどは紹介しましたが、これはなぜなのか。
もちろんコンクリート打設時の圧力に耐えられることは前提として、ですよ。
理由は割とシンプルで、型枠の大きさと関係が合っているからです。

型枠とセパ穴のピッチが合っていないと割付がどうも上手くいかない、というのが型枠とセパ穴の割付展開図を描いてみるとすぐに分かります。
型枠のサイズとセパ穴のピッチをまずは合わせておいて、そこから検討を始める、という表現の方が自然なのかも知れません。

例えば600×1800のパネコートを縦に並べた場合の検討をすると、セパ穴の配置は下図のような感じになるのが一般的です。

セパ割の一例(縦張り)

コンクリート壁に配置する開口とか目地などを全然考慮していないので、こんなに綺麗に割付が出来ることなんて滅多にないですけど…
それでも一般的な考え方としては、パネコートのサイズに合わせてセパ穴を配置していくことが理にかなっている、ということになる訳です。

■縦でも横でも考え方は同じ

パネコートの幅は600mmを選定しておき、セパ穴も600mmピッチに配置していくということで、極力同じモジュールを繰り返していく。
こうした方針で検討を進めた方が最終的に綺麗に見えることになります。

これは建物の見た目に結構大きく関わってくることになるので、しっかりと検討しておいた方が良いのではないかと思います。
ちなみに、外壁がコンクリート化粧打放し仕上になっている場合、設計段階であらかじめパネル割を意識しておいた方が良いです。

最初からパネル割りを意識する場合、通り芯の寸法を型枠が割り切れる6000にしておくなど、モジュールに気を配っておくと後が楽です。
こうした準備がしっかり出来ていると素晴らしくて、そうなるとパネルの割付はスムーズに進み、結果として建物の見映えもかなり良い状態になる可能性が高い。

そうした流れになるのがプロの仕事ですよね。

ちなみに先ほど紹介した例ではパネコートを縦に並べていましたが、パネコートを横に並べる場合も考え方は同じです。

セパ割の一例(横張り)

一般的なパターンとしてはこのようになって、型枠の向きに関わらずセパ穴のピッチが変化しないことがよく分かります。
これに開口のサイズを合わせるとか、目地位置を合わせるなどの検討も必要ですが、まずは基本的な考え方をここでは覚えておきましょう。