出来るだけシンプルな勾配で

アスファルト防水を施工する部屋では、排水溝まで水を流す為に、床に水勾配を設ける必要があります。

部屋の形状によっては、結構複雑な勾配になることもありますが、タイルや石の場合はそれが難しい場合も多い。

前回はそうした現実的な話をしました。

硬質で形状の決まっている床仕上げ材なので、1ヶ所に向けて両方向から勾配を取ることが難しい。

これは仕上げ材の性質を変えてしまう訳にもいかないので、まあ当たり前の話ということになります。

これはもうある程度は仕方がない話なんですけど、それならば、どんな勾配の形状にすするのが理想的なのか。

今回はそのあたりの話について考えたみたいと思います。


■完成形をイメージ出来てるか


1ヶ所に向けて複数の方向から水勾配を設けることを、「しぼる」という表現を使って表したりします。

この「しぼる」勾配だと、勾配同士が重なって出来る折れ線の部分で、どちらの勾配に合わせるのかが曖昧になります。

図面上で曖昧だということは、実際に建物を建てる工事をする際にも、結局は曖昧なままになってしまいます。

要するに、そこをどう言った納まりの表現にするのかが、まだ決まっていない状態だということ。

図面の段階や種類によって多少は違いますが、図面というのは最終的な完成形をイメージする為の手段です。

それなのに、最終的にどうなるかが分からない図面では、ちょっと存在意義が少ないと言わざるを得ません。

そんな残念な状態にならない為にも、出来るだけ最終的な状態が分かるような図面を描いていきたいものです。

なので、最終的にはしぼる形の勾配になるのは良いんですけど、どんな形状になるのかは分かる図面にしておく必要があります。

 

■シンプルな勾配に


色々な方向から水下に向けてしぼる勾配の納まりが良くないのなら、一体どんな水勾配にすれば良いのか。

もちろんこれは部屋の形状などにもよりますが、一般的には以下のようなパターンだと、納まりとしてはシンプルになります。


・一方向に向けて一定の勾配

・当然排水溝も一直線になる

・溝の中で勾配を付けて排水する


一方向の勾配とすることを、建築としては「片勾配」と呼び、勾配が一定になることと、床に折れ線が出ないなどのメリットがあります。

その一方で、部屋の形状によっては実現が不可能だったり、勾配の距離が長くなりすぎるなどのデメリットもあります。

水勾配の距離が長すぎると言うことは、それだけ水上と水下のレベル差を大きくしなければならないことになります。

水勾配は少なくとも1/100は必要で、その勾配を緩くするという選択肢はありません。

1/100だから、1000mmで10mm。

図面の単位は基本ミリなんですが、もうすこし一般的な表現をすると、1mで1cm下がるくらいの勾配です。

勾配の距離が長くなることで良いことはあまりないので、出来るだけそこは短くしたいところです。

だけど勾配は出来るだけ片勾配が良い、というのはちょっと矛盾する部分もあって、なかなか難しい。

このあたりの難しさが、水勾配を難しくしている要因なのでしょう。

出来るだけ勾配はシンプルにした方が良い、ということくらいしかここでは書けない、というのが難しいところです。

 

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