ちょっと話が長くなってしまいましたが、前回は建物を構成する壁について、その種類ごとに異なる特徴を知ることの重要性について説明をしてみました。
壁を構成する材料として鉄筋コンクリート(RC)を採用するのか、それともLGSと石膏ボードを組み合わせたものを採用するのか。

その選択の違いによって部屋の性能は結構違うものになります。

LGSと石膏ボードで構成された壁ならば壁の厚みは薄くて済むけれど、RC壁を採用したばっかりに壁厚が厚くなってしまう。
そして鉄筋コンクリートを壊すのはかなり大変なので、後々で建物内部プランを変えようとしても、改修の手間が大きくなってしまう。

壁を構成する材料が違ってくると、そんな問題が出てしまう場合もあるので、出来るだけ適切な選択をしていく必要がある訳です。
もちろんその逆の話もあって、RC壁ではなくLGS壁を採用した為に、音や振動が隣の部屋から漏れてきて困る、という場合もあります。

これらは分かりやすくするための極端な例ではありますけど、どちらの場合もその部屋に求められる性能を考慮しきれなかった事が原因です。
建物の場所毎に求められる性能と現実がミスマッチだと、建物が完成した後で実際に利用する側から苦情が来るケースに繋がります。

これでは建物として不便じゃないか、というようなクレームは出来れば避けたいところ。
建物を使う側が満足してくれるようにする為には、建物として求められる性能を満たす壁の仕様を知り、適切に配置しておくことです。

この作業はプロであれば普通にやっていることで、実際それ程難しいことではないので、まずは大まかな壁の仕様と特徴を覚えておくことからはじめてみましょう。
まずは壁の種類としてRC壁の説明から。

■RC壁(鉄筋コンクリート壁)

RC壁というのはその名前の通り、鉄筋コンクリートで作られた壁のことを指しています。
建物の柱や梁、そして床を構成する部材である鉄筋コンクリートを壁にも使う訳ですから、これはかなりしっかりとした壁が構築出来そうですよね。

建物の構造体にもなり得る材料で構成された壁ですから、重くて堅牢というイメージがあるのではないかと思います。
そのイメージが正しいかどうか、ここではコンクリート壁の特徴をここで考えてみると、以下のような項目を挙げることが出来ました。

・重量がある為遮音性能などに優れる

・施工後は硬質な壁になるため防水性に優れる

・防犯上も高い効果が期待出来る

・柱や床などを作る時に施工が必要になる(事前に決定が必須)

・後で壁位置を変えるのが非常に大変

セメントと骨材と水を混ぜて化学反応によって硬化させるのがコンクリートです。
そしてそのコンクリートの中に芯材として鉄筋を入れることによって、簡単に破壊しないような粘り強さを持ったのが鉄筋コンクリート。

生コンの状況

そうした材料で壁を構成する訳ですから、やはりその特徴は重さと堅牢さが出ていますよね。
こうしたRC壁の特徴を考えると、建物が完成してから壁位置を変える必要性が少ない外壁に適していると言えるのではないかと思います。

あとはその遮音性能や止水性などから、機械室など常に音が出る機械を設置する部屋や、常時水を使う部屋などに使われることが多いです。
浴室のまわりを鉄筋コンクリートの壁で囲うとか、そうした納まりが昔から多くあるのは止水性という特徴を持っているためです。

ただ、コンクリートは材料の段階では非常に流動性のある状態ですが、材料同士の化学反応が起きたあとは非常に硬質な壁となります。
その為、建物が完成した後で壁の位置を変えたいと思った場合でも、それがなかなか難しいという欠点があります。

一度造ったコンクリートの壁をなくすには、結局壁を全部壊す必要がある訳ですが、その壊す作業がかなり大変なんです。
私の自宅でも似たような状況があって、リフォームを検討している際に調べてみると、浴室廻りの壁が全部RC壁になっていました。

その状態から自分がやりたいプランに変えるためには、どうしても今ある浴室まわりの壁がなくなる必要があったのですが…
そうすると今ある壁を全部壊す必要が出てくる訳です。
コンクリートを壊すことを建築用語では「斫る(はつる)」と呼び、その斫り工事がもう大変でした。

とにかく音と振動がもの凄いんです。

http://www.youtube.com/watch?v=PAKQMykmNKU

上記の動画は自宅の工事風景ではありませんが、やっていることはまさにコレで、同じような騒音が3日くらい続きました。
自分自身が斫り工事の騒音に不快感を抱くというのもそうなんですけど、それ以上に近所から苦情が来るんじゃないかと思ってヒヤヒヤでした。

結局コンクリートの壁がなくなりましたが、振動で関係ない部分のタイルが剥がれたりとか、かなり面倒臭いことになった記憶がまだ鮮明に残っています。
私の自宅の場合は浴室に防水工事をする必要があったので、納まりとしてRC壁を選択するしかなかった、ということは理解していますが…

それでも斫り工事が必要だと分かった際にはかなりショックでした。
自宅をリフォームした際に、普通の浴室をユニットバスに変えたので、周囲の壁はLGS壁でも木下地壁でもOKということになりました。

…と、ちょっと私の個人的な話になってしまいましたが、この話はコンクリート壁の特徴を大きく表しているのではないかと思います。
RC壁を後で改修しようとすると大変、という特徴ですね。

RC壁は様々な性能を満たす壁なので、先ほども書きましたが外壁や区画壁など、広い範囲で採用されることになるはずです。
ということで、鉄筋コンクリート壁の特徴をここでは簡単に紹介しました。