石膏ボードには様々な性能を持った製品が用意されていて、LGS壁として求められる壁の性能によって、もしくは施工する部位にあわせて、適切な製品を選定していく必要があります。
建物としてそれぞれの場所で適切な壁の性能を確保するために、こうした石膏ボードの仕様を使い分けていく訳です。
そのためにはまず、メーカーが用意している石膏ボードの仕様にはどんなものがあるのかを知っておく必要がある、ということで…
前回はそれぞれの石膏ボードに用意された品番とか、それぞれの品番の頭に付いている「GB」の意味についても触れました。
「GB」は単純に「Gypsum(石膏)Board(ボード)」の略なんですけど、実際に仕事をしている中では結構使用頻度の高い言葉です。
とは言っても、仕事で石膏ボードのことを指すためにわざわざ「ここはGBを張って…」みたいな表現はあまりしないかも知れません。
図面とか文章で書くのは普通なんですけど、実際口に出す表現として「GB」は結構恥ずかしいというか、使いたくないというか。
建物を造っている場面では石膏ボードは圧倒的に使われる材料なので、シンプルに「ボード」で通じてしまうんですよね。
「Plaster(石膏)Board(ボード)」の略で「PB」と呼ばれる場合もあるので、どちらもセットで覚えてしまいましょう。
でもやっぱり自分の口から「ここはPBを…」とは言いませんけど。
さて、LGSの規格サイズと石膏ボードの仕様を知っておけば、あとはそれらの既製品を組み合わせていけばLGS壁が出来上がります。
実際には色々な性能があるのでそこまで単純な話ではありませんが、原則はLGSと石膏ボードの組み合わせですから、間違いという訳ではありません。
あとは、LGS壁にどんな性能が求められているのか、それを実現する仕様のLGS壁にはどんなものがあるのか。
そのあたりを知っておけば、恐らくLGS壁の知識としてはほぼ問題ない、という状態になるはず。
そんな訳で、今回は建物の中でLGS壁に求められる性能にはどのようなものがあるのか、というあたりを考えてみたいと思います。
■最低限の性能とは
建物の中で壁に求められる性能というのは結構色々ありますが、まずはスタート地点として最低限求められる性能から考えてみると…
・隣の部屋との境目として機能する
という、かなり当たり前すぎる性能があります。
一般家庭が住んでいるマンションでは居間と寝室の間には壁があって、扉を通らない限りは部屋を行き来することが出来ません。
壁として求められる性能としてこれは当たり前の話ではありますが、まず本当に基本的な部分を考えると、この「部屋と部屋の間仕切り」という性能があります。
場所によってはなぜかガラスの壁を採用する設計者もいますけど、それでも壁というのは部屋と部屋を区切る役目をまずは求められます。
こうした最低限の性能を満たした後で、さらに必要な性能がある場合には、もう少し高性能な壁を用意することになります。
■住戸同士の壁などで
たくさんある建物の用途の中で、例えばマンションで使われる壁について考えた時に、502号室と503号室を隔てる壁というのもあります。
それぞれの住戸同士を区分するための壁で、こうした壁は結構重要な役割というか性能を求められることになります。。
基本的に502号室に住んでいる方と503号室に住んでいる方は違います。
そうなると、同じ壁とは言っても同じ住戸内にある壁、例えば居間と寝室の間にある壁と同じ性能という訳にはいきません。
マンション住戸同士を区切る壁にはどのような性能が求められるのかというと…
・隣で発生した音を遮断する壁
という性能が必要になってきます。
ある程度の規模を持つマンションであれば、それぞれの住戸ごとにしっかりとプライバシーを保っておく必要があります。
そうしないと住んでいる方の不満が大きくなって、分譲マンションでは売れないという問題が発生するし、賃貸マンションであれば借り手が付かないという問題が出ます。
せっかくマンションを建てても住む人が少ないのではビジネスとして困るので、住む予定の方、つまりお客さんのニーズをまずは満たす必要があるんです。
そうした部分を考えていくと、部屋同士の境目としての性能にプラスして、先ほども挙げた「音を遮断する性能」が必要になってくる訳です。
隣の住戸で発生した音が聞こえない、こちらで出した音が隣の住戸に聞こえない、という「遮音性能」があれば快適に生活が出来ますよね。
もちろん全ての建物がこうした考え方の元で設計されている訳ではなく、場合によっては遮音性能のない壁になっている場合もあります。
木造2階建のアパートなどは、もしかしたら遮音性能よりもコストを重視している可能性も少しだけあるかも知れません。
そうした建物の場合、「隣の住人が新聞紙をめくる音まで聞こえる」ということになる可能性が高いです。
だけどその代わりにコストがかかっていない分だけ家賃が安いなどのメリットがあるので、家を探している方が何を重視するかによってそこは決めることが出来る訳です。
壁の性能についてはもう少し話が続きます。