ビニル床タイルの納まりなどについて説明をするつもりが、その前段階の話として「どんな呼び方をするか」に時間をかけてしまっている気がします。
ちょっと本末転倒というか、もっと早く具体的な話をした方が良いですよね。

と言うことで、まずはビニル床タイルという呼び方の方針は決まったので、今回からはもう少し具体的な話をしていきます。
まずはホモジニアスビニル床タイルとコンポジションビニル床タイルの違いがどのあたりにあるのか、という部分から考えてみましょう。

ホモジニアスビニル床タイルとコンポジションビニル床タイルの違いは何かというと、材料の配合率が違っているというシンプルな違いです。
ビニル床タイルの中には、バインダーと呼ばれる、塩ビ樹脂・可塑剤・安定剤などからなる接合材が含まれています。

バインダーの含有率が大きいほど柔軟性の高い床材になりますが、大きすぎるとサイズが均一にならないなどの問題が出てきます。
このバインダーの含有率によってビニル床タイルの呼び方が変わる訳です。

そばで言えばそば粉とつなぎの関係に似ているかも知れません。
で「十割そば」と呼ばれたり「九割そば」と呼ばれたり、あるいは一般的な「二八そば」と呼ばれたりという違いをイメージしてもらえれば近いかな。

このバインダー含有率が…

30%以上 : ホモジニアスビニル床タイル

30%未満 : コンポジションビニル床タイル

という関係になっています。

バインダーの含有率で区分をするのが良いのか悪いのか、と思ったりもしますが、それによって床材の性質が変わってくるので、そこで区分するのは自然なことなのかも知れません。

■もっと具体的な違い

バインダーの含有率によってビニル床タイルの呼び方が変わってくる、という話ですが、それが仕上材にどんな影響を及ぼすのか。
含有率が何パーセントで呼び方が変わるのかよりも、どのように性質が変わってくるのかの方が大事ですよね。

バインダーの含有率によってどのような性質の違いが出てくるのかというと、一般的には以下のような違いが出てくると言われています。

ホモジニアスビニル床タイル:意匠性が高め・耐摩耗性、耐薬品性高め

コンポジションビニル床タイル:価格安め・伸縮しにくい・耐荷重性高め

バインダーによる区分もあるんですけど、ホモジニアス系のビニル床タイルは、基本的に複層になっていることがほとんどです。

断面図はこんな状態です。

ホモジニアス系ビニル床タイル

一方でコンポジションビニル床タイルは単層と呼ばれる構造になっていて、写真で見るとこのような断面形状になっています。

コンポジションビニル床タイル

この「単層なのか複層なのか」という違いが意匠性の違いになっていて、さらには値段の違いになっている、ということですね。

■違いが分からない場合

ホモジニアスビニル床タイルとコンポジションビニル床タイルの違いは、簡単に説明してしまうとこんな感じです。
ただ、こうした話はあくまでも一般的な話で、メーカーがどのような製品を開発・販売しているかによって結構違ってくるものです。

販売している商品によって性能や価格が違ってくるのは、どのような製品でも同じですよね。
そして製品によって様々な特色があることも同じです。
なので「これはホモジニアス系だから…」みたいに難しく考えず、メーカーが記載している性能や特徴を見るのが一番早いと思います。

そして、カタログを見てもよく分からない場合には、メーカーに直接電話をして聞いてみるという方法もあります。
メーカーは床材のプロで、なおかつその製品を売りたいと考えている訳ですから、製品について問い合わせがあれば親切にそれぞれの商品について教えてくれるはず。

私も時々「製品についての一般的なことを教えて欲しいんですけど」という感じで問い合わせをすることがあります。
そうやって自分が持っている知識を少しずつ増やしていく。
これは何もビニル床タイルに限った話ではなくて、全てのことに言えることだと思います。

そうやって知識を蓄えていき、使用する部屋の用途に合わせた品番を選んでいく。
これが一番効率の良いやり方ではないかと思います。