建物の内部で多く採用される壁のひとつであるLGS壁、その特徴とイメージについて前回まで色々と話をしてきました。
私のかなり長めの説明よりも、「これです」という写真を見た方が、間違いなく頭の中でイメージしやすいのではないでしょうか。

それはそれで寂しい話ではありますけど、やはり百聞は一見に如かずなんですよね。
だからこそ、建物の内容がイメージしやすくなっている図面に大きな価値がある訳です。

そして、イメージしやすい図面を描くためには、やはり作図する側が完成形をしっかりとイメージ出来ている必要があります。
そのためには建物を構成する色々な材料についての知識を増やしておくしかなくて、知識を増やすための手助けを当サイトではやっていて…

…という、なんだかサイトの宣伝みたいになってしまいました。
建築の納まりについての知識を得ることと、実際の施工についての知識を得ること。
これらをバランス良く積み上げていくことで、プロとして仕事の質を高めていくことが出来るのではないかと思います。

ここでLGS壁についての話題に話を戻しましょう。

LGS壁というのはどんなやり方で施工をしていくのか、その為にはどんなことに気を配っていけば良いのか。
その辺りの知識を持っていると、実際にLGSを建てたり石膏ボードを張ったりという施工を経験したことがない方でも問題なく室内の平面図を描くことが出来ます。

こうしてLGS壁についての説明をしている私自身も、現場でLGSを建てたことはないし、石膏ボードを貼ったこともありません。
もちろん実際にやったことがあるのとないのとでは、やったことがある方が有利なことは間違いありませんが、別に経験がなくても問題はありません。

そこに正しい知識さえあれば、ですが。

図面というのはあくまでも机の上で検討した内容が書類になっている状態で、必ずしも現場とイコールになっている訳ではありません。
でも、納まりに関する知識を深めていくことによって、図面と現場、つまり机上の検討と現実をほぼイコールにすることは可能です。

設計者や施工者として図面を描く立場にあるプロであれば、そうした精度の高い図面を描くことが出来る方が当然有利になります。
作図する図面の種類によっては、そこまでの精度やクオリティを必要としない図面もありますが…

それでも知識が全然ないよりも、知識が多い方が有利になることは間違いありません。
これは当たり前の話ではありますけど、自分の知識として色々なことを覚えておくことで、不利になるようなことは絶対にないですから。

さて、LGS壁についての話はこのへんにしておき、今回は木下地の壁について簡単に説明をしてみましょう。

■木下地壁

木下地壁の基本的な構成や考え方、そして納まりのパターンは、今まで説明してきたLGS壁とほとんど同じ内容になります。
木を下地材として建てていき、そこに石膏ボードを張っていくという流れは、前回の話とほとんど同じだとすぐに気がつくと思います。

では木下地壁とLGS壁は何が違っているのかというと、その呼び方の通り、下地がLGS(軽鉄)なのか、それとも木なのかという点です。
LGSを建ててそこに石膏ボードを張っていくのがLGS壁、木で下地を組んでそこに石膏ボードを張っていくのが木下地壁。

木下地の一例

この違いは壁の呼び方を見ればすぐに分かってしまうことなので、あえて説明をするのもちょっと変な感じがします。
しかし、この下地の違いというのは、最終的な壁の性能にかなり大きな違いを生むことになるので、まずはそれぞれの違うについて書いてみました。

基本的な話として、木は比較的燃えやすく、鉄は比較的燃えにくいという特徴があって、その違いが壁の性能に影響を与えることになる訳です。
と言うことで、今回紹介する木下地壁の特徴は以下のような感じになります。

・非常に手軽である

・コスト的に有利

・壊すのも比較的楽

・壁が薄くて済む

・耐火性能を求められる壁には不向き

・強度はRCやALCに比べると弱い

・石膏ボードは水に弱い

下地の材質こそ違っても、表層に張っていく材料が石膏ボードであることはLGS壁と同じなので、特徴も基本的には似たような方向性になります。
木下地壁とLGS壁が大きく違ってくるのは、その下地材の性能が出てくる部分です。

例えば壁としての強度だったり、耐火性能があるかどうかの違いなどがあります。
やはり木下地壁では、耐火性能を求められる壁の性能を満たすことが難しく、その場合はLGS壁を採用するしかない状況も出てきます。

壁として耐火性能が必要な部分に、燃えやすい木を下地として採用するのは、適材適所の考え方からするとあまり適切とは言えないですから。
そうした場所にはRC壁やLGS壁を採用して求められる性能を満たし、もっと手軽に作りたい壁に木下地壁を採用する。

そんな使い分けをしていくのが良いのではないかと思います。