ビニル床タイルの特徴ということで、コンポジションビニル床タイルとホモジニアスビニル床タイルそれぞれの特徴について、今まで何回かに分けて説明をしてきました。
なんとなくでも良いのでそれぞれの特徴はイメージ出来たでしょうか。
さらにイメージをするには、やっぱり実際にカタログを見たり、既に施工されている建物の床を見たりするのが一番です。
ただ、既に施工されている床仕上材を見て「これはホモジニアスビニル床タイルだな」となるのは結構難しいので、まずはカタログが手軽でお勧めです。
設計者であれ施工者であれ、実際に仕事をしている方であれば、床仕上材のカタログはもうイヤになるくらいたくさん見ているとは思いますが…
単純に「見るだけ」と、自分が「どんな床仕上材なのか」と疑問に思って見るのとでは全然違うので、そうした意識を持ってカタログを見ると良いです。
実際に床仕上材メーカーさんのカタログを見たり現物を見たりすると、結構柄のバリエーションは豊富なんだな、と思うはずです。
木目とか石目などの柄もかなり綺麗なので、私は結構驚きました。
フローリングや石材など「本物」の仕上材に比べればホモジニアスビニル床タイルは割と安価な材料で、メンテナンスも容易という使い勝手の良い材料です。
前回も少し書きましたが、色々とバランスが良いので使う機会は結構多くなると思います。
まあ確かに本物の木や石が出す質感には敵いませんけど…
そうした「本物の質感」を求める場所なのかを考えてみたりすると、そこまで求めない場合は実は結構多いものです。
また、本物は本物で強い衝撃によって割れてしまったり、白くなったり濡れ色になったりするなどメンテナンス性に問題がある場合もあります。
このあたりの話は床石の項目で詳しく説明するので軽く流しますけど、本物にも色々と苦労がある訳です。
そうした苦労をしつつ、コストを掛けて本物の質感を出したい場所、というのは建物の中でそれほど多くはありません。
そこまでの場所じゃない、という場合には、ホモジニアスビニル床タイルのような仕上材が活躍することになる訳です。
ということで、そんなビニル床タイルの納まりはどうなっているのか、というあたりの話を今回は考えてみることにします。
■ビニル床タイルの納まり
ビニル床タイルの納まりがどうなっているのか…
という感じで前置きも長めに入ってきましたが、実際にはそれほど難しい納まりではなくて、ビニル床シートとあまり変わらない納まりになります。
つまり、床下地であるコンクリート面に対して床仕上材を直接接着剤で固定する、というパターンが非常に多いんです。
厚みがそれ程ない製品ですから、シンプルに床コンクリートの貼り付けた方が見た目も良いし、手間も少なくて済むので助かります。
ここまではビニル床シートと同じ考え方ですが、ビニル床タイルにはそのほかの納まりとしてOAフロア下地の納まりがあります。
そこだけは床塩ビシートの納まりとは大きく違いますが、まず下地がコンクリートの場合から見てみましょう。
ビニル床シートとほぼ同じ厚みと納まりですが、ビニル床シートが長尺なのに対し、ビニル床タイルは500角程度というサイズ感があります。
定尺のサイズは商品によって違いますけど、基本的には300角~500角程度の商品が多いです。
その製品をタイル状に並べていくというのがビニル床タイルの大きな特徴になります。
■OAフロア下地の場合
先ほどは床仕上材の下地としてコンクリートの場合を紹介しましたが、それとは別に「OAフロア」と呼ばれる下地に貼るパターンも紹介します。
ちなみに「OAフロア」というのは床嵩上げ材のことを指しています。
床コンクリートを100mm程度下げておき、その上にOAフロアを敷き込み、そこに床仕上材を貼って納めていきます。
そうすることによって、床仕上材の下に電源などの配線を通すことが出来て、机のレイアウトも自由になるというメリットがあります。
こうしたメリットがある関係で、オフィスビルの床は基本的にOAフロアになっていることが非常に多いです。
オフィスビルはテナントに貸すスペースですから、借りる側が自分たちの自由にレイアウト出来るようにしておく訳です。
床下の配線をするには床仕上材を一時的にはがす必要があるので、長尺で貼っていくビニル床シートはOAフロア下地に適さないんです。
500角程度のサイズになっているのは、部分的にはがしやすいように配慮しているからという理由と、あとは運んだり施工しやすいサイズだからです。
OAフロアを下地として使用するビニル床タイルは、一般的なビニル床タイルよりも少し分厚くて5mm程度あります。
OAフロア上に貼るとこんな感じ。
OAフロアで使用するビニル床タイルのサイズは500角で、基本的にはOAフロアも500角。
なので、OAフロアのジョイントをビニル床タイルがまたぐように貼っていく形になります。
またいで貼るのは、1枚だけ床材を剥がせば、OAフロアのジョイントから配線を取り出せるようにする為です。
納まりとしては特に難しい部分ではないので、断面図を見ればすぐに理解出来ると思います。