市松貼りと流し貼りと

床仕上材としてタイルカーペットを採用する際には、当然部屋全体に敷き詰めていく必要があって、その場合は同じ製品でも交互に貼っていく「市松貼り」が一般的。
そんな話を前回は紹介しました。

タイルカーペットは工場で製作されている規格品ですから、基本的にはどの製品であっても品番が同じであれば同じ柄になっているのが前提です。
しかし実際にはそこまで同じになるのは難しく、全てが同じ柄というのは製作の誤差なども考えるとなかなか実現しないのが現実。

だからこそ市松貼りで交互に貼っていくことによって、製品の違いや施工誤差などによる微妙なズレが目立たないようにする、というのが市松貼りの目的でもあります。
ここであえて悪意のある表現をすると、「人の手で施工することによるズレをごまかす為の市松貼り」ということも出来ます。

だけどこれはさすがに表現に悪意がありすぎる表現すぎで、ズレが目立たないような貼り方の方が美しく見えることの方が多いんです。
実際にタイルカーペットを市松貼りにした状態を見ても、全然見映えは悪くないので、そこまで市松貼りを悪い方向に考えなくても良いんじゃないかと思います。

こうした状況を考えていくと、タイルカーペットは余程こだわりを持っている場所でない限りは市松貼りで全然問題ないのではないか。
これはちょっと普通すぎる意見かも知れませんけど、当サイトではそのように考えています。

そうした「普通の納まりが一番」みたいな無難な意見を持っていると、時には「お前にはこだわりがないのか」という種類の指摘にぶつかることもあります。
これは実際に仕事をしていく中で結構あることではないかと思います。

一般的な納まりや施工方法では普通すぎてつまらない、という方向性の意見で、これは確かにひとつのポリシーだと言えるでしょう。
ただ、一般的な納まりを単純に避けていくという選択肢が、そのまま個性的というかこだわりを持っていることとイコールなのかというと…

実際のところ、そんなことはないんですよね。
一般的な納まりが全部美しくなくて、それよりも少し外した納まりが美しい、と決まっている訳ではないので、そこは間違えないようにしたいところです。

このあたりの納まりに関する考え方というかポリシーというのは、その人が今までどんな経験をしてきたのかなどによって少しずつ違ってくるもの。
他人の意見もしっかり取り入れつつも、自分でもプロとしてたくさんの建物を見たりして、自分の考え方を造り上げていくことになるかと思います。


■流し貼りというやり方

さて、市松貼りの話から少し逸れてしまいましたが…
そんな一般的な施工方法である市松貼りを避けたい場合には、全てを同じ向きで貼っていく「流し貼り」というやり方が候補になってきます。

交互に貼っていくのが市松貼りなので、それを避けるには交互をやめて同じ方向に貼っていくか、もしくは完全にランダムに貼っていくしかないですよね。
そんな流し貼りのイメージはこのようなイメージです。

流し貼りのイメージ

無地のタイルカーペットだと単色に見えてしまいますが、柄がある場合はその柄に流れが出てくることになって、なかなか見映えの良い貼り方ではないかと思います。
市松貼りとは少し違う雰囲気で良いですね。

ちなみに、私が仕事で関わったことがある意匠設計者の大半は、市松貼りよりも流し貼りを好んで採用していました。
それがどこまで一般的なのかは不明ですが、意匠設計者が好む割合は圧倒的に市松貼りよりも流し貼りなんですよね。

なんでだろう。

市松貼りが「普通の納まり」という理由で市松貼りが避けられているのであれば、それはちょっと違うような気がしてきますが…
意匠設計者のこだわりというのは、なかなか言葉とか理屈とかで説明出来るようなものではないので「見た目として流し貼りの方が良い」で理由としては充分なのかも知れません。


■品番によって変わる

ただし注意したい点として、タイルカーペットのカタログなどを見ると「この製品は流し貼りを推奨しません」と書かれている場合があります。
柄などでズレが目立ちやすい製品にはそうした注意書きがあったりします。

逆に「流し貼りを標準とします」という製品もあるので、まずはメーカーのカタログをよく読んでその製品の特徴をしっておく必要があります。
メーカーもどのように敷いていくのが美しいのかを考えていて、最終的な見え方によってタイルカーペットのデザインを決めているはず。

だから基本的にはメーカーの推奨する配置が正解なのだと思います。
敷き方によって最終的な見映えが変わってくる訳ですから、施工する側は床仕上材の品番と一緒に貼り方をどうするかを確認してきます。

一般的な市松貼りでOKなのか、それとも流し貼りをするのか。
設計者としてはその前に、どちらの敷き方で考えているのかをあらかじめ決めておく必要があるんです。

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