タイルカーペットは製品の特徴上、形状は正方形であっても貼る方向があって、その向きによって同じ製品であっても見映えは少し変わってきます。
これは柄がある製品であれば当然のことですけど、柄がない単色の製品であってもやっぱり貼る方向によって見え方は違います。

最終的に完成した建物をどのように見せるのかを考えるのが設計者の仕事。
なので、どのようにタイルカーペットを貼るのか、つまり最終的に床をどのように見せるのかを考えるのは設計者の仕事ということになります。

一般的な納め方としては、製品を交互に貼っていく「市松貼り」が多く採用されますが、流し貼りを好む設計者が多く、なかなか見映えも良いので捨てがたいところです。
あとは施工する部屋のグレードとか、タイルカーペット自体のグレードなども考慮して、どんな貼り方にするかを決める。

前回まででそんな話をしてきましたが、タイルカーペットの貼り方についてはこのあたりを意識しておけば大体OKだと思います。

あとは同じグレードの製品の中で、色が違うものをアクセントとして採用したり、大きく2系統の色に分けたり、ある程度ランダムに貼ったりなど。
設計者のアイデア次第で貼り方は色々な可能性を秘めていますので、部屋の用途にあわせた設計をしていきましょう。

ということで、タイルカーペットの貼り方についての話は、そろそろ終わりにしておきます。
今回はタイルカーペットのグレードにつて考えてみることにします。

■タイルカーペットのグレード

床仕上材として、タイルカーペットはどのくらいのグレードなのか。
タイルカーペットという大きなくくりの中には様々な価格帯があるので、その中で具体的どんな商品を選択するのかによって大きく変わってくる、というのが正直なところ。

だから一概に「こんなグレードです」とは言いにくい部分がありますが、ごく一般的なグレードの製品で考えた場合はどうなのか。
平均的なグレードで比較した場合、床仕上材としてタイルカーペットは、ビニル床タイルよりもやや高いくらいのグレード感ではないかと思います。

床塩ビシートやビニル床タイルよりもグレードは高く、例えば石とかタイルなどに比べるとグレード感は低い、という感じの床仕上材です。
例えば事務室でOAフロアを採用する場合、OAフロアの上にどのような床仕上材を貼っていくかということになりますが…

結局「後ではがせること」が条件になるため、候補としてはタイルカーペットかビニル床タイルの二択ということになります。
そこで床仕上材としてビニル床タイルを選定する部屋であれば、それは完全にスタッフゾーンみたいなイメージになる。

だけど同じ事務室でも床仕上げ材がタイルカーペットになっていると、お客さんが訪問するような事務室かも知れないな、と感じます。
もちろんこれは私の個人的なイメージでしかありませんが、そんなニュアンスの違いが床仕上材のグレードを表しているんじゃないかと思います。

タイルカーペットの柄や厚みなどによるグレードは色々で、スタンダードタイプの見映えはそこまで高級感がある訳ではないですけど、それでも見た目は悪くないです。
ホテルなどで使われるタイルカーペットには、やはりそれなりのグレードを感じさせる製品が採用されたりします。

■採用される施設

タイルカーペットを採用するような建物の種類としては、先程も書きましたがホテルとか、あとはオフィスビルなどが多くなっています。
病院の待合いなどで採用すると、クッション性が高くて暖かみがある仕上材の特徴を生かして良い感じになるような気もします。

しかし建物の性質上、子供が多く訪れる場所でもあるので、なかなかタイルカーペットは採用しにくいのが現状ではないかと思います。
やっぱり子供というのは、どうしてもジュースとかお菓子などをこぼしてしまう可能性が高いので、なかなか選びにくいのが正直なところ。

やはり拭き取りにくいタイルカーペットよりも、拭き取りやすいビニル系の仕上材が採用されることが多いですね。
いくら建物が竣工した時点では綺麗な床であっても、ジュースをこぼした染みが残るようでは建物としてあまり良いとは言えませんよね。

カーペットの清掃性

ちなみにタイルカーペットは1枚が50cm角なので、汚れたところだけを新しいものに変えることも出来ます。
これがタイルカーペットの売りのひとつでもあります。

その部屋全体の床仕上材を交換することを考えると、部分的に交換する方がはるかに簡単でなおかつ低コストな交換方法ではありますが…
部分的に交換することは出来るけれど、まわりの床が古ければ古いほど、交換した新品と今まで使っていたモノとのギャップが大きくなってしまう。

そうした問題もあるので、部分的な交換がベストだとは言えません。

同じ品番であっても私用した時間によってそれなりにギャップが出来てしまうので、部分的に新品と交換というのも結構微妙なんですよね。
なので、汚れる可能性が高い部屋であれば、あまりタイルカーペットは採用しない方が良いかも知れません。